【独自】弁護士・四宮隆史(株式会社 嵐 社長)インタビュー 芸能人の「プライバシー」について いま話しておきたいこと
四宮さんは創作活動をする際の「プライバシー侵害」の線引きの難しさについても言及しました。 ―四宮― これがプライバシー侵害に当たるのかどうか… ということを考えながらやると、確かに表現に躊躇、ためらいが生じ、萎縮が生じることはあるかもしれないですけれども、そこは我々弁護士も 一つ頑張らなきゃいけない所で、ここまでは表現として許される。ここからは許されない… ということをクリエイターが気軽に相談できる弁護士がまだ多分少ないです。なので、そういう法律の専門家が増えてくるということも重要なのかなと… 数は少ないですね、欧米に比べると…エンタテーメントロイヤーって 何となく歌って踊る弁護士なのか? みたいなぐらいにしか思われてないと思うので… エンターテイメントビジネスに弁護士が必要で、そのクリエイティブな活動にも弁護士が必要でっていうのは ようやく最近になって認識はされてきたけれども、まだ遅れているかなとは思います。 ―池田― プライバシーの話に戻って恐縮ですが、どうやったら このなかなか変わらないものを変えていけると思いますか? ―四宮― 1つは昨今のようにプライバシー侵害を受けた人が 声をあげる。声をあげることに対して、ためらいが生じないように…セーフティネットじゃないけれども、専門家も含めて、守ってあげる。そういう環境を作っていくことが大事かなとは思います。 ハラスメントの問題とかも含めてですけども、被害を受けた人が なかなか声を出しづらい世の中だったと思うんですけれども、いろんな専門家が、メンタルケアも含めて、きちっと守ってあげる体制を作って、被害を発信することが大事です。 ただ…その被害が、どれだけの被害だったのか 本当にどういう被害があったのか っていうことは、なかなか証明は難しいところがあるので、ある一定の段階では「第三者」が間に入って調整をする。調停とか仲裁制度がありますが、それがもう少し使いやすい制度になると良いかなと。 おそらく… 調停とか仲裁って聞いても、一般の人はピンとこないと思うんです。どこでそれがなされてるかとか、あんまり知らないと思って 「裁判」しか知らないと思うんですよ。 裁判の手前に、まだそういう第三者が入って、間を取り持ってくれる制度があるっていうことを「知ってもらうこと」も重要かなと思います。それでも埒が明かなければ もちろん裁判なんですけど、裁判というものに対してあんまりネガティブな印象を持たないように…アメリカはもう何があっても裁判しますからね。日本はまだそうではない。 やはり裁判ってのは よほどのことがない限りしない。私が相談を受ける芸能人の方なんかでも、「裁判まではしたくないんですよね」っていう相談のされ方は かなり多いので…。 でも裁判は決してそんな悪いものではないので、むしろ裁判官がいて、第三者的に きちっと判断して、間を取り持ってくれる制度が 行政サービスでもありますから、使った方がいいかなとは思いますね… ―池田― 我慢せずに声を出してと? ―四宮― そうですね。弁護士があんまりこういうこと言うと、「裁判やって儲けたいからだろ」と思われちゃうと あまりアレですけど。でも弁護士も自分たちで考えなければならない。 弁護士という存在の敷居が高ければ、裁判の敷居が高くなるので、弁護士がもう少し身近になってくるというのも重要なことかなと。
【担当:芸能情報ステーション】
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