【独自】弁護士・四宮隆史(株式会社 嵐 社長)インタビュー 芸能人の「プライバシー」について いま話しておきたいこと
―池田― 古くは「有名税」みたいな言葉で、「ある程度それは許容しなきゃいけないんだ」みたいな、空気感が過去はあったかもしれないが、それは時代とともに変わっていると感じますか ―四宮― 「有名税」というのは、法律の専門用語で言うと、「公人の法理」という言葉があって、公の人の法律の理屈なんですけども、公人だからある程度、一定のプライバシー権の制約を受ける…ということは、裁判でも認められていることなんですね。なので、それは一般的に「有名税」って言ったりしますけど、範囲が広がっているか狭まってるかは ちょっと感覚的にはわからないのですが、実際 判例でもそこは「それほど変わっていない」と思います。 ただ、一般の人の感覚は、SNS文化になってから、やっぱり少しずつ、そういった誹謗中傷的なものとか、プライバシーを侵害するような写真であるとかがSNSに載っている…ということに「慣れてきている」感じはしますよね。 それを「いいね」をしたり、「リポスト」したり、「拡散」したりしていくことに関しての「罪悪感」みたいなことが、ちょっと昔に比べると薄れてきたのかな?という感じはします。 ―池田― となると、1回(SNSなどに)出てしまったもの というのはなかなか完全に消すことが難しい時代になってきている? ―四宮― はい。 ―池田― だからこそ、守らなければならない という想い? ―四宮― そうですね…守らなきゃいけない。特にネットだと記録に残ってしまうので、一時話題になった「忘れられる権利」という言葉もありますけど、そういった問題もあるので、以前よりも増して、紙媒体でメディアがあった時代に比べると、インターネット上で、何年も残ってしまうということもあるので、そこはやはり、「より気を付けなきゃいけないかな」とは思いますね。 ―池田― 本人が望まない。例えば、「プライベートな写真」が拡散しないようにすることは、法律とか罰則で規制することはできないんでしょうか? ―四宮― なかなか罰則、法律で一般化していくっていうのは相当難しいだろうなと思います。そこは、だいぶ「解釈の余地」が出てきてしまうので、結局それがプライバシーの侵害にあたるのか、違法な行為なのか、っていうのは、裁判をやってみないとわからない…というのは今と変わらないのかなと。 ただ、一定の何か…各業界団体だとか、テレビや雑誌など、そういった報道機関の自主規制的なもので、何らかルールを作っていただけるといいな という風には思いますね… 法律で作ろうとすると、なかなか難しいという気はします。