ナチョがレアル・マドリードを退団「僕は下部組織から過ごしたこのクラブにすべてを与えられ、すべてを捧げたんだ。ありがとう」|ラ・リーガ
レアル・マドリードは25日、主将DFナチョ・フェルナンデス(34)の退団を発表した。 レアル・マドリードから1年の契約延長オファーを提示されていたというナチョだが、クラブを去ることを決断した。同クラブは「レアル・マドリードは、私たちのキャプテン、ナチョがレアル・マドリードの選手としての道程を終えると決断したことを報告させていただきます」との声明を伝えている。 ナチョは2001年にレアル・マドリードの下部組織に入団し、それからこれまで同クラブ一筋でプレーし続けてきた“ワン・クラブ・マン”だ。2011年にトップチームデビューを果たして以降、絶対的なレギュラーになることはなかったものの、深いクラブ愛を抱えるがゆえのたゆまぬ努力、献身的姿勢によって出場機会を得ればチームに大きく貢献する活躍を披露してきた。 今季に関しても、前半戦こそ出場機会に恵まれなかったナチョだが、DFエデル・ミリトンに続きDFダヴィド・アラバまで長期離脱を強いられたことで出番が増えると、これまで同様に期待を裏切らないプレーを披露。DFラインからチームを支えてラ・リーガ、チャンピオンズリーグ優勝に貢献し、主将として自らトロフィーを掲げた。 サウジアラビアのアル・カーディシーヤ移籍が決定的とされるナチョは、レアル・マドリードが退団を発表した直後に自分自身でもメッセージを公開。最初に「手短」と記しつつも、愛情と気持ちのこもった、決して短くはない文章をクラブやそのファンに向けて捧げている。 「手短な言葉ではあるけれど、今、自分が感じていることをあなたたちに伝えさせてもらうよ」 「僕は自分の人生のクラブ、レアル・マドリードに別れを告げる。10歳でここにやって来た僕は、人間、監督として成長を果たした。ここで勝つこと、負けること、戦うこと、苦しむこと、楽しむこと、いつだって期待と決意をもって生きることを学んだ。今の自分があるためのすべてを学んだんだ」 「僕はほぼ25年間、同じ場所に通い続けて練習してきた。そう言えば早いのかな。僕はそうやってマドリディスモの価値観を、自分の人生を捧げてこのエンブレムのために闘うことを学んでいった。あなたたちがすべてを与えてくれたんだよ」 「僕にとっては本当に辛いことだが、今が別れの時となる。僕はこのエンブレムを代表する人間として、ピッチ内外でベストを尽くしたという自負と晴れやかさでもって、ここを出ていく。子供の頃は僕たちのスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウでプレーすることを何度となく夢に見た。そうして今、僕たちの15回目のチャンピオンズ優勝を成し遂げられたキャプテンとして、自分の日々を終えられることを誇らしく思う」 「自分が感じている気持ちを表現する言葉は存在しない。僕はレアル・マドリードの選手としての終わりが美しく、最高のものであればいいと、いつだって望んできた。あなたたちには、これ以上はもうないと言うことができる」 「熟考し、決めかねて、迷い続けた数カ月間だったけれど、今日、僕はあなたたちに伝えることにした。自分は家族とともに最後の、異なる経験を必要としていて、今が完璧なタイミングとなった。僕のことを理解してくれたレアル・マドリードには感謝を伝えたい」 「会長へ:常日頃の僕に対するサポート、固い信頼に感謝します」 「チームへ:君たちは僕の兄弟。キャプテンとして持ち得る限りの最高の選手たち、チームメートたち、友人たちだ」 「君たちのことを考えるだけで、僕は幸せになれるのさ」 「監督へ:日々、自分自身を超えていけというあなたの厳しさが、僕をより良い選手にしてくれました。僕を気にかけてくれて、理解してくれてありがとうございます」 「マドリディスタたちへ:あなたたちの厳しさが僕たちを素晴らしい選手にしてくれる。すべてに、ありがとう。あなたたちのためにプレーし、あなたたちの熱を感じられたから、僕はもっと強くなることができた。忘れないでくれよ……“アスタ・エル・フィナル(最後まで)”ね!」 「長年、僕と一緒に働いてくれた何百人もの人たちにもメッセージを伝えたい。彼らが僕をより良い人間、選手にしてくれた。監督、フィジコ、スタッフ、医療スタッフ、広報、マーケティング、用具係、クラブの従業員たち……大文字で(厚い)GRACIASを」 「同様に両親、妻、子供たちといった僕の家族や、友人たちにも感謝を。この道の途中、手を離さないでいてくれた。ときには簡単ではなかったけれど、彼らの頑張りがあったからこそ、そばにいてくれたからこそ、僕は夢を叶えることが、最も高い位置までたどりつくことができたんだ」 「絶対的な献身と、情熱と喜びの24年を経て、僕はあなたたちに別れを告げる」 「あなたたちには僕のことを、自分のクラブのために“すべて”を差し出したカンテラーノとして覚えておいてほしい。心から、ありがとう」 「今日から僕は、この信じられない家族の各タイトル、各ゴールに叫び声を上げるんだ。僕の心のレアル・マドリード!」 「マドリディスタのみんな、これはアスタ・プロント(またすぐに)なんだよ。ナチョ・フェルナンデスより」 文・翻訳/江間慎一郎