亡き父と認知症の母に思いを込めて モンゴル歌謡で“生命の真実”を歌う
ジャズにハードロックにブルースに……。ジャンルを問わない音楽に挑戦し続ける八代亜紀が、今度はモンゴルの歌「JAMAAS(ジャマース)」の日本語カバー曲を歌う。 同曲はモンゴル語で「真実」を意味し、1990年の民主化運動で活躍したドグミド・ソソルバラム氏の作詞によるもの。原曲が表現する「人生の真実・摂理」を一人の女性の生涯を描き日本語の歌として、生まれ変わった八代オリジナルの「JAMAAS 真実はふたつ」。キャリアを重ねた今、持てるもの全てを注ぎ込んだ渾身の一曲といえる。 今、なぜ八代が、モンゴルの歌を? その理由は20年前にさかのぼる。当時のフレルバータル駐日モンゴル大使夫人が八代の大ファンでコンサートを訪れ、何度か「『モンゴルの大平原で『舟唄』を歌ってほしい」と切望していたが、実現に至らず。しかし、2012年にフレルバータル大使が再任を契機に、巡り巡って八代との再会を果たしたことで急に歯車が回り始める。今年7月末~8月初旬にはモンゴルでの初のコンサートが行われ、同国文化大使にも任命された八代が、「JAMAAS 真実はふたつ」に込められたさまざま思いを語ってくれた。
―「JAMAAS 真実はふたつ」とはどんな歌ですか?
八代:ソソルバラムさんの歌う「JAMAAS」を聴いたとき、メロディーがとても日本的で歌謡曲、流行歌のような感じに思えました。覚えやすくてスーッと入ってきました。「JAMAAS」とは「真実」という意味なのですが、日本人にわかりやすいように直訳ではなく、「生きていくうえで真実はふたつあり、『生まれること』と『亡くなること』なんだよ」っていうように歌詞が作られていましてね。その詩がすごくステキで「命っていうのは、神様から借りている物、借り物だから、自殺しちゃいけない、殺し合ってはいけない。そういう“時期”が訪ねて来たら、その借りていた命を「ありがとう」って感謝して返そう、それが「JAMAAS」なんです。