高級ドライヤーに熱視線 高まる「美髪」需要 開発競争が過熱、8.5万円新型も
高級ヘアドライヤーを投入する動きが活発になっている。1万円以下の比較的安価なドライヤーがこれまで主流だったが、この数年は2万円以上の高価格帯品も動くようになった。メーカー各社も、速乾性だけでなく、髪の潤いなどを重視した高機能モデルを投入。美髪効果やプロ並みのセットが可能など付加機能への関心も高まり、高級機が人気に。開発競争はさらに過熱しそうだ。 【関連写真】5万円以上するダイソンのプロ用ドライヤーは「r」字形状のデザイン 「ナノケア」シリーズを展開するパナソニックは、水分発生量が最大10倍の高浸透ナノイーを新開発した高級機を9月1日から発売する。 投入する「ナノケア アルティメイト」は、ナノケア史上最高の潤いを実現するとしており、最上位機は、なりたい髪に合わせて自動でマイナスイオンの発生量を調整する4つのパーソナルメニューを搭載。市場想定価格が8万5000円前後と高額だが、「なりたい髪を実現したい」という需要を見据えて提案を進める考えだ。 2023年に美容新ブランド「プラズマクラスタービューティ」を立ち上げたシャープも高級機に力を入れる1社だ。 発売している「プラズマクラスタードレープフロードライヤー」は、高濃度プラズマクラスターと速乾技術、熱ダメージケア技術を、新デザインの小型ボディーに搭載したことが市場からも評価され、販売が好調だ。速乾性だけでなく美髪を求める層からも支持されている。 ダイソンはプロ用ドライヤー「スーパーソニックr」を発表し、日本を皮切りに一般向けモデルを4月から発売した。小型・軽量に高出力モーターを組み合わせることでセットする際にも疲れにくく、デザインを「r」字形状にしたことで従来のドライヤーで乾きにくいところにも楽に届くようにした。ヒーターも新開発し、ホットスポットができないことも特長だ。価格は5万円以上だが、市場テストを繰り返して投入しており、製品の品質や機能にこだわる日本市場での提案に力が入る。 高級機を各社が投入する中、市場にない製品展開を重視するスタートアップのNO.(ノードット、東京都渋谷区)は、小型・軽量で大風量の「蘇生ヘアドライヤー」を応援購入サービス「マクアケ」で先行販売し、2000万円以上の金額を集めている。新製品は、251グラムと超軽量でありながら、スティック型で持ちやすく大風量を実現。髪のうねりや広がりといった悩みを改善する製品として市場の反応をみている。 ドライヤーをはじめとした理美容関連市場は「アジアを中心に伸びしろが大きい」(パナソニック)とし、各社が熱視線を注ぎ始めた。店頭やイベントなどでの実演も強化しており、高級ドライヤーを体験し、低価格品との違いを実感できる機会はさらに増えそうだ。
電波新聞社 報道本部