子どもから虐待被害を告げられたら? 知っておきたい、地域や専門機関に頼る方法
友だちとトラブルばかり起こしている、大人に対して反抗的、拒食や過食……。こうした「困った子」は、実は本人が困っている子です。過酷な体験で生じた心の傷=「トラウマ」から、問題行動を起こしているのかもしれません。 【漫画】「悪魔の子の証だよ!」新興宗教にハマった母親が娘に言い放った信じ難い一言 わかりにくいのは、なにがあったかを子ども自ら話すことが少ないからです。トラウマは、先の人生に大きな影響を及ぼすことさえあります。ですから周囲は、子どもの回復のためになにができるかを考え、行動していくことが必要です。 そこでこの連載では、『子どものトラウマがよくわかる本』(白川美也子監修、講談社刊)を基にして、当事者はもちろん、子どもにかかわるすべての支援者にも知っておいてほしいことを、全8回にわたってお伝えします。 支援者が子どもや家族をコントロールするのではなく、双方が力を与え合い、この世に生きている幸せを共に感じられる。そんな瞬間を増やすのに役立つヒントをぜひ見つけてください。今回は、深刻なトラウマをもつ可能性のある子どもと、その家族を支えるしくみについてお伝えします。 子どものトラウマがよくわかる 第8回 〈無理は禁物。子どもの心の回復のために、周りの大人がするべき聞き方・話し方〉より続く
早い段階から適切に対処するために、各組織と連携を取ろう
子どものトラウマは、さまざまな要素が絡みあって生じるもの。回復を促すための取り組みも一筋縄ではいきません。また、できるだけ早い段階から適切に対応していけるかどうかで、その影響の残り方は変わってきます。とくに虐待によるトラウマは、家庭の状況そのものをできるだけ早い段階で変えていかなければ、子どもは延々とトラウマ体験を積み重ねることになります。 トラウマは人や世界への信頼感を損ないます。だからこそ、つながりをつくっていくことが回復の助けになります。支援する立場にある人や組織も、一人、あるいは一つの組織でかかえこむことなく、連携を心がけることが大切です。 それでは、もし子どもから被害をほのめかされたときには、どうしたらよいのでしょうか? 子どもが自分の被害体験を初めに告げるのは、多くの場合、加害者ではない家族か、保育所や学校などの先生です。子どもの思いを受け止めるとともに、被害内容によっては児童相談所などへの通告が必要です。子どもに「だれにも言わないで」といわれても、「わかった」と安請け合いしないようにします。一人でかかえこんでいても事態は改善しません。