【高校サッカー選手権】前橋育英、桐生第一に3-0で快勝!共愛学園と決勝で激突
第103回全国高校サッカー選手権群馬予選は11月4日、前橋市のアースケア敷島サッカー・ラグビー場で準決勝が行われ、前橋育英が桐生第一に3-0で快勝し、11月9日の決勝でインターハイ(総体)予選を制した共愛学園と顔を合わせることになった。両校による決勝対決は2年ぶり2度目で、前回は前橋育英が6-0で完勝した。 【フォトギャラリー】前橋育英 vs 桐生第一 プレミアリーグEASTで現在暫定5位の前橋育英は、立ち上がりからボール支配率で圧倒し、主将でボランチの石井陽(3年)が正しく戦況を読みながら短いパスで周りを動かした。左の黒沢佑晟(3年)、右の白井誠也(2年)の2列目が外から鋭く仕掛けて相手陣営に進入していく。 前半1分、トップ下の平林尊琉(2年)のスルーパスから1トップの佐藤耕太(3年)がGKと1対1になったが、ビッグセーブに遭っていきなりの先制機を逃した。13分には白井と黒沢が立て続けに決定打を放ったが決められない。平林は16分のバーをたたいた一撃に続き、28分には左からの絶好機を右に外してしまい、長かった攻勢の時間帯に得点できないでいた。 ベテランの山田耕介監督は「前半のうちにもっと楽になれる展開でしたが、シュートが入らなかった。ああいう流れだとカウンターから失点し、リズムを悪くすることがありますからね」と多くの絶好機を逸し、前半は冷や汗をかいていたようだ。 こう着状態を断ち切ったのが、昨年度の全国高校選手権もレギュラーで出場した佐藤だ。前半37分、左SB竹ノ谷優駕(2年)の左クロスがゴール前で混戦となり、いち早く拾った佐藤が右足で豪快に蹴り込んだ。 背番号15のエースは「立ち上がりのチャンスを外していたのでほっとしました。前からの守備と点を取ってチームを勝たせるのが自分の仕事。決勝でも決めたいですね」と気持ち良さそうに語る。 Jリーグ浦和レッズの育成組織で育ち、来季トップチームに昇格するユースのFW照内利和とは小中学の同僚。「ユースには上がれなかったけど、育英で充実したサッカー生活を送っています」と笑顔で話し、集大成の大会にすべてを懸けるという。 関東高校大会予選覇者でプリンスリーグ関東1部の桐生第一は、守備に追われながらも主将のGK上杉海晴(3年)が好守を連発してしのぐ。しかし攻撃では山田康太(3年)、原島謙伍(2年)の2列目がサイドからの突破を試みるが、相手の出足の速さと当たりの強さ、パスコースを消す読みの良さに遭い、会心の最終パスを供給できなかった。 後半のビッグチャンスはいくらか減ったが、それでも前橋育英のペースに変わりはなく15分にFWオノノジュ慶吏(3年)を送り出すと、前線が活発になった。 29分にオノノジュの強シュートから左CKを獲得すると、竹ノ谷が石井のボールを頭でねじ込んだ。35分にはこぼれ球を回収したオノノジュが、右から持ち込んで逆サイドに突き刺して勝負を決めた。 オノノジュは10月20日のプレミアリーグ、大宮アルディージャ戦で先制点を決めたが、右足じん帯を痛めて前半36分に交代。2日前に復帰したばかりとあり25分限定で出場した。「まだ痛みはあるけど、負けたら終わりの大会なので出たかった。ゴールも決められてすごくうれしい」と終始ご機嫌。目下プレミアリーグEASTで10点を挙げ、得点ランキング首位。前回の全国高校選手権1回戦で2点をマークした快足FWの復帰は、チームにとって頼もしい限りだ。 前半にシュートを1本も打てなかった桐生第一は、後半に入ってもなかなか絶好の得点チャンスを構築できなかった。10分に山田がドリブルから打ったが、DFにブロックされてゴールを割れなかった。 前橋育英は決勝を争う共愛学園に総体予選準決勝でPK戦負け。山田監督は「ボールはうちが支配できるだろうが、カウンターには警戒しないといけない」と戦略の一端を明かす。主将の石井は「ロングボールを使ってくるのでしっかり対策したい。厳しい戦いになる」と4連覇へ向け、気を引き締めていた。 (文・写真=河野正)