パリ行き決めた男子走り幅跳びの橋岡優輝 不満の残る内容に「この1カ月は忙しくなる」
パリ五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権第3日は29日、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで行われ、男子走り幅跳びは参加標準記録を突破済みで東京五輪6位の橋岡優輝(富士通)が7メートル95(追い風参考)で優勝し、日本陸連の選考基準を満たして2大会連続の代表に決まった。 「今回は内定したことだけが良かったような内容だった」。男子走り幅跳びを制した橋岡の口から、思わず本音が出た。優勝すればパリ五輪行きが決まる試合できっちり結果を出したものの、8メートルに届かず。表情は曇ったままだった。 1回目は踏み切りが手前になりながら、7メートル87。2回目に記録を8センチ伸ばし、その後が続かなかった。5月に国内で試合を行った後、体のバランスを崩して調子を上げられず、「それを引きずってしまった」。ただ、それでも結果には納得がいかなかった。 練習拠点としている米国で、今冬は助走につなげるスプリント能力の向上に注力。コーチから「走っていない。なぜそれで跳べるんだ」と言われたことが発端だった。助走はタイミングを重視していたが、「スピードが必要だなとは感じていた」と取り組みを強化。3月に米国で8メートル28を跳んで参加標準記録(8メートル27)を突破するなど成果があった一方、今大会でまだクリアすべき課題が見え隠れした。 22歳で挑んだ2021年東京五輪は、日本人選手として同種目で37年ぶり6位入賞を果たしたが、メダルを逃した悔いが残った。五輪開幕まで1カ月を切り、「この1カ月は忙しくなる。でも、1カ月あればなんとかなる」。覚悟を持って、本番を見据えた。(小川寛太)