「トリエンナーレ」予算凍結など議論 名古屋市の検証委
国際芸術祭あいちトリエンナーレに対する名古屋市の第2回検証委員会が14日、名古屋市役所で開かれた。市の負担金や今後の関わり方について法律や経済学、美術の専門家らが、次回の3月会合で結論を出すことを前提に議論した。 【動画】あいちトリエンナーレ、名古屋市の検証委が第2回会合
凍結理由の「事情の変更」は妥当か
あいちトリエンナーレは愛知県と名古屋市などが実行委員会を組織して3年に1回開催してきた。しかし、昨年の企画展「表現の不自由展・その後」をめぐって、河村たかし市長が県の対応などに反発し、市の負担金約1億7000万円のうち、閉会後に支払う予定だった約3300万円の予算執行を凍結。新年度の予算案でも関連経費を計上していない。 弁護士で元名古屋高裁長官の中込秀樹委員は、市が予算執行の凍結にあたって、不自由展の一時中止などを「事情の変更」として理由付けたことについて、「展示そのものは行われ、目的を達している。何が事情の変更に当たるのか抽象的だ。これを理由に交付を取り消すのは難しいのでは」と疑問を呈した。 これに対し、大東文化大副学長で元衆院調査局決算行政監視調査室首席調査員、名古屋市法制アドバイザーの浅野善治委員は「展示内容について県と市が情報を共有せず、全体の運営がまったく機能していなかったのではないか。それは『事情の変更』の大きな要因になる」と反論。上武大ビジネス情報学部教授の田中秀臣委員は「県の報告書などを見ると、不自由展はもっとお金と人員をかけてやるべきだった。予算規模がミスマッチの状態で計画を立ててしまった。いわば過少申告だ」と指摘した。 一方、過去のトリエンナーレにキュレーターとして関わった美術批評、ライターの田中由紀子委員は「不自由展はトリエンナーレ全体のほんの一部の企画。そもそも限られた予算の中でやっており、過少申告というわけではなく、調整がうまく行かなかった。公金はトリエンナーレへの交付金で、不自由展への交付金ではない。来場者67万人はベネチア・ビエンナーレも上回っており、全体として実績を残している」と今回の運営を評価するなど、見方が分かれた。