コクトー・ツインズ、ハロルド・バッドとの共作アルバムが初リイシュー&84年~96年のMVもフルHDで公開
名門レーベル「4AD」を代表するバンドであり、ドリーム・ポップの礎を築いたコクトー・ツインズ(Cocteau Twins)と、アンビエント・ミュージックの先駆者、ハロルド・バッドの2組が1986年にリリースした共作アルバム『The Moon and the Melodies』が、初リリースから38年を経て、コクトー・ツインズのロビン・ガスリーによるオリジナル・テープからのリマスタリングによって初のリイシューが決定。8月23日(金)にCDとLPでリリースされます。 本作は、コクトー・ツインズのカタログの中でも特異なアルバム。彼らの基準からしても異例なほど幽玄なサウンドを湛えており、合流を果たしたアンビエントの先駆者、ハロルド・バッドのフリーフォームな即興に支えられたインストゥルメンタルが大部分を占めています。同年のはじめにリリースされた『Victorialand』のアトモスフェリックな響きを土台にした作品で、コクトー・ツインズにとって新たな可能性を示唆するものでしたが、彼らが再びこの道を歩むことはありませんでした。 本アルバム実現の経緯について、ロビンとサイモン・レイモンドの記憶によれば、インディーズ系テレビ局・チャンネル4が、異なるジャンルのミュージシャンをペアにしたフィルム・プロジェクトの案を、「4AD」に持ちかけたのだと言います。しかし2020年に他界したハロルド・バッドは、1980年代のインタビューにて、当時、コクトー・ツインズが、彼の曲をカヴァーすることに興味を示したため音楽出版社が両者をつなげたのだと話しています。いずれにせよ、フィルム・プロジェクトは実現しませんでしたが、ロビンとサイモンは「ハロルドとは話をしていて、僕たちはみんなとても興奮していたんだ。コクトー・ツインズ的な、めったに興奮しないような、ある意味とても暗い感じでね。とりあえずやってみよう。飛行機も予約しちゃったし、スタジオで彼と一緒に過ごして、何が起こるか様子を見ようってことになった」と振り返っています。 一癖も二癖もある『The Moon and the Melodies』ですが、長年にわたって熱狂的なファンを惹きつけているほか、Spotifyで最もストリーミングされている曲のひとつ「Sea, Swallow Me」がTikTokで、表現しがたい哀愁のためのサウンドトラックとして幾度も使われているなど、いまだに存在感を放っている作品でもあります。一方、サイモンは、このアルバムのユニークさは、その控えめで無計画な成り立ちに由来すると考えており、「心地よいと思える作品を作るのがいつだって大事なんだ」とし、「一緒に音楽作りを楽しんでいる友人たちとの一瞬を切り取ること。それが本質なんだ。あの音楽は、僕らがスタジオでいかに楽しい時間を過ごしていたかということを映し出しているんだ」と語っています。 また、今回の発表にあわせて、コクトー・ツインズの公式YouTubeチャンネルにて、1984年の「Pearly-Dewdrops' Drops」から1996年の「Tishbite」までのミュージック・ビデオが公開。これは、「4AD」とユニバーサル・ミュージックに保管されていたオリジナル・マスターを使ってフルHDにアップグレードされたMVとなっています。 さらに、公式ウェブストアでは、コクトー・ツインズのTシャツやトートバッグ、セーターが販売。バンドが公式グッズを販売するのは1997年以来初めてとなります。