U-21が日韓戦敗北で得たリオ五輪へ向けての課題と収穫
終了間際にPKを決められ、0-1で敗れたアジア大会準々決勝の韓国戦。課題と収穫の両方を感じながら、選手の話を聞き終えて思ったのは、「今大会における彼らの評価、1年3か月後に迫った五輪予選での可能性について論じるのはひとまず置いておこう」ということだ。残すところわずかになった今季のJリーグでの、彼らの成長と活躍を見てからでも遅くない、と。 「テクニックのある選手たちに守備意識や粘り強さを植え付け、柔軟性と割り切りを備えたチームを作る」と宣言した手倉森誠監督にとって、今回の韓国戦は願ったり叶ったりのシチュエーションだった。国際大会のノックアウトステージでの対戦。ほぼ満員に埋まったスタンド。しかも彼らは地元開催であり、金メダルが義務付けられているため、日本より2歳年上の23歳、22歳のベストメンバーにオーバーエイジ3人も招集している。 プロである以上、年齢は関係ないが、選手の国際経験やリーグでの試合経験を考えれば、韓国のほうが一枚上手。そんな相手に対し、前半は予想通り押し込まれながらも押し返し、コンビネーションから韓国のペナルティエリア内へと攻め込んだ。後半に入ると明らかに劣勢へと傾いたが、それでも相手のシュートの瞬間に体を投げ出したり、ゴールライン上でクリアしたりしてしのぎ、ゲームは0-0で推移していった。 日本のベンチが動いたのは64分。MF野津田岳人に代えてFW荒野拓馬を送り出し、4-2-3-1から4-4-2へとシフトチェンジ。「得点を狙いにいった」と手倉森監督は明かした。荒野投入で2トップに変えるのは今年1月、オマーンでのU-22アジア選手権準々決勝のイラク戦でも見せた勝負の策。韓国のセンターバックに圧力をかけ、ワンチャンスを狙いにいった。 仕留めにいった日本にとって誤算だったのは、MF矢島慎也が足を攣ってしまったことだ。79分、矢島をMF原川力に代え、4-3-3に再度変更。「アクシデントの中で延長も覚悟しながら、原川の投入でボールを動かし返そうとした」と手倉森監督が言うように、プラン変更を余儀なくされた。これで圧力が弱まり、失速してしまった感は否めない。終了間際に奪われたPKは不運でもあったが、相手がうまくPKを誘ったようでもあり、それに大島僚太はまんまと引っ掛かってしまった。高い授業料を支払うことになったが、大島にとっても、チームにとっても今後に向けていい勉強になったと捉えるべきだろう。