U-21が日韓戦敗北で得たリオ五輪へ向けての課題と収穫
連覇を狙いながら、ベスト8で大会から去ることになったが、立ち上げとなった今年1月、オマーンでのU-22アジア選手権のときと比べて粘り強さ、しぶとさ、柔軟性、闘う姿勢といった点でチームが成長しているのは間違いない。「タフに戦う覚悟を示してくれて頼もしく思う。きれいなサッカーをやりたいと思っていた連中が、体を張って顔面でもクリアする辺りは、これから世界に打って出るとき、強豪ではない日本が大事にすべきベースだと思う」という指揮官の言葉にも、同意できた。 また、岩波拓也と植田直通のセンターバックコンビが韓国の強力な攻撃陣に対し、1対1で渡り合えていたのも収穫だ。とりわけ岩波の出来は素晴らしく、ハイボールは必ず弾き返し、地上戦では深いタックルでボールを奪い、攻撃の起点としても貢献していた。サイドをえぐられてピンチを招いたが、中央で跳ね返せたことが終盤まで0-0で保てた要因のひとつだ。岩波も手応えを隠さない。「自分としては、韓国相手にこれだけやれたのは、評価できると思います」 一方、攻撃面では課題が多い。コンビネーションや攻撃パターンの構築はこれから本格的に着手していくにせよ、守備面とは異なり、個の勝負で劣勢に回り、ゲーム体力の面でも不安を露呈してしまった。左足の一発で劣勢を覆すことを期待された野津田は、時間の流れとともに消えてしまい、早々の時間帯でベンチに下がった。2本のシュートを放った矢島は、勝負の時間帯で足を攣り、ピッチを跡にせざるを得なかった。ここまで得意のドリブル突破で好機を演出してきた中島も、この試合では韓国DFの足に引っかかる場面が多く、プレスバックなど守備面での貢献ばかりが目立った。ここまで5ゴールを上げてきた鈴木武蔵も、この試合では見せ場を作れず、試合終盤には植田に前線を譲る屈辱を味わっている。 「Jリーグで試合に出ている経験を国際舞台でも出せていると思う」と岩波が語ったのとは対照的に、攻撃陣にチームのレギュラーとしてJ1の試合に出ている選手はいない。例えば、2列目からの飛び出しでゴールに迫った矢島は「もうひと工夫できれば、もっと落ち着ければ」と悔やんだが、そうした工夫や落ち着きこそ、クラブで試合に出場する中で身につくものだ。選手個々がクラブでレベルアップしていかなければ、本当の意味でのチーム力のアップは難しい。