正社員の採用予定、3年ぶりに低下 「賃上げ」「原材料高」などが背景に
外国人などの雇用に関する規制緩和や補助金制度などの拡充に加え、中小企業の価格転嫁を支援する制度のさらなる強化が求められる
本調査で、2024年度の雇用動向について『採用予定がある』企業は正社員が61.5%、非正社員が45.9%で、高水準ながらともに3年ぶりに低下したことが分かった。 特に中小企業においては、人手不足が深刻化し、採用意向はあるものの、各種コストアップによる収益の悪化で賃上げができず、条件面で大企業に負けてしまう企業も多い。また、物価高騰の影響で経営状態が厳しくそもそも採用を控えるケースも多くみられるほか、「賃上げによるコスト圧迫が大きく、多少採用を絞って賃上げに回すことを検討している」(ソフト受託開発)の声にあるように、賃上げを行うために採用を控える企業も増えていることなどが背景にありそうだ。 「外国人」「高齢者」「女性」「障害者」のいずれかの人材を採用する予定のある企業は8割近くにのぼり、うち採用人数が「増加する」企業は4割近くとなった。企業からは、「超高齢社会がもっと進み、特に地方の企業は高齢者や外国人を雇用しなければ存続が難しくなると思う」(旅館・ホテル)など、多様な人材を活用する必要性を実感する声が聞かれた。 今後、企業業績や収益性の良し悪しによって、人手不足の状況に対して採用の可否が分かれる状態が予想されている。 こうしたなか、多様な人材の採用のほか、各種コストの上昇分の販売価格やサービス料金への十分な転嫁も必要不可欠と言える。外国人などの雇用に関する規制緩和や補助金制度などの拡充に加え、中小企業の価格転嫁を支援する制度のさらなる強化など多岐にわたる公的支援が求められよう。 調査概要 調査対象企業:2万7443社 有効回答企業:1万1267社(回答率41.1%) 調査期間:2024年2月15日~2月29日 調査方法:インターネット調査