まるで漫画家の“分身”が絵を出力? 話題の「ピュアモデルAI」とは何か、開発元にインタビュー
約200枚の絵を学習させ、オーダーメイドで仕上げる
ピュアモデルAIの最大の特徴は、「契約した漫画家本人の絵柄のみ」を学習させることだ。著作権者である漫画家の許可がなければ作動せず、漫画家自身が全ての学習成果をコントロールできるオーダーメイド型のサービスとなる。どのようにして、漫画家の特性を学習させているのか。
┌────────── まず、漫画家本人が描いた200枚ほどの絵柄をAIに学習させます。これは絵柄に一貫性を持たせるために必要な枚数で、線の描き方や色塗りなどの特徴がわかる幅広いシチュエーションやキャラクターの絵柄が好ましいです。その後、“プリプロダクション”と呼ぶ工程があり、漫画家さんのフィードバックを受けながら、生成物のクオリティを向上させていきます。場合によって、追加で絵柄を学習させることもあります(Ha Hyun Woong氏) └──────────
絵柄の学習からプリプロダクションまでの一連の工程には、およそ2ヵ月を要する。漫画家と丁寧にすり合わせをしながら、本人が満足できるクオリティになるまで修正を重ねるという。
ちなみに、絵柄を学習させるAIには、著作物を含む膨大な枚数の絵柄を事前学習した基盤モデルが使われる。ただし、これは漫画家が描いた絵柄において人物の「目・鼻・口」や「手足」、動物の種類などを認識させる目的であり、生成物の出力には一切利用されないという。出力時に利用されるのは、あくまで契約した漫画家本人の絵柄のみとのこと。
誤って他人の絵柄を学習させるなどの問題が起こらないよう、SUPERNGINEではピュアモデルAIを厳重に管理していると説明する。サーバーは漫画家別に管理されており、限られた人しかアクセスできない。また、漫画家本人が画像を生成する際には目に見えないウォーターマーク(透かし)を刻印予定だという。 現時点では、漫画家自身はピュアモデルAIを操作せず、SUPERNGINEの担当者が絵柄の学習やプロンプトの作成といった一連の作業を行っている。