「メジャーで勝ちたい。世界一になりたい」 有言実行の20歳/櫻井心那インタビュー
父・一也さんに連れられ練習場へ行ったのをきっかけに、年子の兄と切磋琢磨して腕を磨いた。 「1歳上の兄は小、中、高校が同じだったのでよく喧嘩していました。試合になると男女別なんで、そこは『一緒に全国に行こうね』と応援し合って。中1から高3まで参加していた九州ゴルフ連盟の強化合宿での学びが大きかった」という。 「合宿は3カ月に1回ぐらいで、2泊3日。まず1年間の表に出場する予定の試合を書いて、空いている枠にメンタル面、技術面、体力面の課題を書き込む。それを提出しないといけない。そのあとは真っ白な画用紙に何時から何時まで何をするのか書き出して、課題を見つけたら、どうすれば改善できるかを考えて試合に臨む。そして、また課題を見つける…というサイクルを学んだ」。地道な反復練習で土台を築いてきた。 「いまは書き出したりしないけど、勝手に『これをするならこうしないと』と考えるようになった。プロテストを一発合格できたのも、そうやって課題をどんどん消化していったからだと思う。練習で気付いたことや、このショットはどういう風に気持ちを持てばよかったか、という反省はスマホのメモに残すようにしています」
思いを言葉に込めて
ことしは年間女王を目指しながら、来年に米国で戦うために、12月の米ツアー最終予選会(Qシリーズ)に臨めるようスケジュールを組んでいく。 「ことしは日本で頑張って、来年はアメリカで戦って、ちゃんとシードを獲って、優勝して。その次に海外メジャーで勝って」。しっかり目標を描き、はっきり口にする。 「座右の銘じゃないけど『有言実行』を大切にしてきた。実現したいことや目標は口にするようにして。言ったら後戻りできないから、自分にプレッシャーを掛けて。気が緩んでるなとか、気持ちに余裕がありすぎるなとか感じたら、新しい目標を立てるようにしてみたり。コントロールするようにしています」
キラキラした世界を目指しながら、ネガティブになりがちな心とも向き合ってきた。「成績が良すぎたりすると『ダメになるのが怖い』と考えちゃうときはある。でも、どの時代も、どのスポーツでも普通に勝てなくなるときはくる。だから、『やらなきゃいけないんだ』って思うように。不安をやる気にしている」。そう語る眼差しは強い。 ラウンド後の取材で、自分に言い聞かせるように『下手だから』と口にしてきたのも「自分に自信がないわけではない。自信はある。でも納得はいっていない。できることはある。もっと上に行けるという気持ち」があるからだ。