全米プロを制したザンダー・シャウフェレの「7番ウッド」と「10番アイアン」の秘密
自宅がキャロウェイ本社に近く、開発陣と密に対話
今季メジャー2戦目の全米プロゴルフ選手権では、メジャー出場28回目のザンダー・シャウフェレが悲願のメジャータイトルを獲得。そのセッティングを調べると、米男子ではあまり他の選手が使っていない珍しい番手を入れていることが分かりました。 【写真】これが悲願のメジャー制覇に貢献した実際のクラブたちです!
カリフォルニア州サンディエゴで生まれ育ったシャウフェレは、サンディエゴ州立大学を卒業し、今でもサンディエゴを拠点としています。2018年にキャロウェイと契約してからは、同じカリフォルニア州のカールスバッドにあるキャロウェイ本社をよく訪れているそうです。 キャロウェイの開発チームとも密にコミュニケーションをとりながら新クラブのテストを繰り返したり、アイアンの形状に関する意見を出すことも多いといいます。 シャウフェレのセッティングで特徴的な番手は2つあります。 1つは3番ウッドの下に7番ウッド相当の「APEX UW」を入れていること。実は「APEX UW」を使う前からザンダーは「マーべリック」の7Wを使うなど、ロフト20度前後のフェアウェイウッドを使っていました。昨年10月の「ZOZOチャンピオンシップ」で来日したイベントで話を聞くと、次のように答えました。 「以前はロフト20度だったけど、今はロフトを寝かせて240ヤードを打つようにしています。すごく万能なクラブ。抜けもいいし、ティーショットでも使えるところが気に入っています」 またアイアンは「APEX TCB」を4番アイアンから入れていますが、一番下の番手表記が10番アイアンになっています。 そもそも「APEX TCB」はツアー支給品として開発されてきたもので、現行世代のモデルは市販されていません。シャウフェレのほかには、ジョン・ラームら海外のトップ選手が使っています。10番アイアンに関しては、契約選手から「PWもアイアンの感覚で打ちたい」という要望があり、ウェッジではなくアイアンとしてヘッドを設計したそうです。このアイアンについてシャウフェレは次のように語っていました。 「バックフェースのウェイトを調整することで、重心を低くしたり、打感を変えたりすることができて、何でも自分の好きなように調整できるところが気に入っています」 ちなみに14本のクラブの中で最も気に入っているクラブについては、 「パターがいちばんのお気に入り。赤くて、シンプルな形状。打感もいいし、2本の線があるアライメントがすごく構えやすい。トップブレードに1本の線があるのも気に入っています」 ザンダーが赤いパターを使いはじめたのは2018年シーズン。当時は「オー・ワークスレッド#7CH レッド」を使っていました。21年の東京オリンピックで金メダルを獲得したのも同じパターです。しかし、23年からは見た目は赤いパターでアライメントもほとんど同じですが、トゥーロンデザインモデルに変更しています。 全米プロ最終日の18番ホールでシャウフェレは、約1.8メートルのバーディーパットを残していました。入れたら優勝、外したらプレーオフ。そんな痺れる場面で打ったパットはボールがカップをクルッと半周回ってからカップイン。悲願のメジャー優勝を叶えたのも赤いパターでした。