「お客様は神様」の時代は終わり…カスハラ対策の動き広がる
福井銀行と子会社の福邦銀行(ともに福井市)も9月、イワシタ商事と同様の文書を作成。ホームページに掲載した。10月からは県内外の全86支店(無人の店舗を除く)で全国銀行協会が作成した同趣旨のポスターを掲示している。 企業や団体向けに助言する「カスハラアドバイザー」の山田泰造さん(75)は「カスハラを放置すれば、従業員の離職につながるだけでなく、企業イメージが低下して新規採用にも悪影響を及ぼす恐れがある」と指摘する。 そのうえで、東京都が10月に制定した全国初のカスハラ防止条例を念頭に「国や自治体が法律や条例を定めて『カスハラを許さない』という姿勢をはっきりと示せば、社会全体の理解が深まるはずだ」と話した。
自治体名札名字だけに
カスハラ対策を巡っては、県内の自治体も職員の名札の表記をフルネームから名字だけにするなどの取り組みを進めている。読売新聞が県と17市町に取材した結果、福井市や敦賀市、永平寺町など12市町が昨年10月以降に名字だけに変更。以前から名字のみだった鯖江市は5月から、各課の窓口に掲げる分担表の表記もそろえた。 職員の個人情報がネット検索されるのを防ぐためで、福井市の担当者は「被害が起きる前に職員の不安を取り除きたい」と話す。 福井市はまた、カスハラの対応マニュアルを4月に改定し、具体的な手順を盛り込んだ。それによると、不当な要求には2人以上で応対し、やりとりを記録。長時間居座れば退庁を求めるなどとしている。