キューバへの旅心誘う映画に観客も興味津々!詩人ロルカも称賛したサンティアゴ・デ・クーバ
映画はいきなり、著名なスペインの詩人ガルシア・ロルカの詩で始まった。 「満月がやってきたら、サンティアゴ・デ・クーバへ行こう」。 書店でも手に入る「ロルカ詩集」にも収録されている「キューバの黒人のソン(楽の調べ)」と題されたこの一編の詩には、キューバ南東部サンティアゴ・デ・クーバへのロルカの強烈な憧れと称賛が込められている。この詩のことを知っていた人も知らない人も、キューバへの旅心がそそられる導入部だ。 カリブ海の魅惑の島国キューバ。その歴史と文化を知る上でとても貴重な映画2作品が、国立映画アーカイブ(東京都中央区)で開催中の「蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭」で1月27日に上映された。上映作品はキューバ初の女性映画監督サラ・ゴメス(1943年~74年)の初期作品「サンティアゴへ行こう」(16分、白黒、1964年)と遺作となった長編映画「ある方法で」(74分、白黒、1974年)だ。 日本で彼女の作品を見る機会はめったにないため、客席には大勢のキューバ・ファン、映画ファンが詰めかけた。今回の映画祭の期間中2月2日にも上映されるほか、2月16日と同24日には福岡市総合図書館映像ホール「シネラ」でも上映される。キューバ映画に関心のある人にとってはまたとないチャンスとなる。
サラ・ゴメス監督の作品はこれまで東京国際女性映画祭や山形国際ドキュメンタリー映画祭などで日本に紹介されたが、1月27日の上映後には、山形国際ドキュメンタリー映画祭での上映を担当した濱治佳さんと、国立映画アーカイブ(旧東京国立近代美術館 フィルムセンター)でかつてキューバ映画のポスター展や上映会を担当した岡田秀則主任研究員による対談も行われ、観客も興味津々で聴き入った。 岡田さんはドキュメンタリーとフィクションを融合させた野心作「ある方法で」について「いろんなものを埋め込もうとする冒険が満ち満ちている」と言う。ロマンチックなシーンがあって甘いメロディーがかかるかと思えば、古い建物を壊し説明的なナレーションがどんどん入ることもある。ケンカしているところもあり。「そういうものが自然につながり、どんどん話を織りなしていく。これは見たことがないとまず最初に感じた」と振り返る。