トランプ氏やその支持者は「反知性主義」なのか? 多くの日本人が誤解していること
「反知性主義=バカ」ではない
では、森本教授は「反知性主義」をどう捉えているのか。 「本来の反知性主義とは、知性そのものへの反対ではなく、知性が権力と癒着して人々の生活に余計な口出しをすることへの反対です」 「たとえば、学者が原子力の研究をすること自体には反対しないが、特定の学者が行政や業界と癒着して国の原発政策推進や世論誘導に加担するようになったら、それには強く反発する」 「つまり反知性主義には“反権威主義”という重要な側面があるのです。だから、アメリカにはハーバード大など名門大学出身の“反知性主義者”もたくさんいます」 「権力の暴走を許さない健全な社会を維持していくために、日本にも“知性的な反知性主義者”が増えて欲しい。そのような願いを込めて『反知性主義』という本を書きました」 どうやら「反知性主義」という言葉には、われわれが思いもよらないポジティブな意味があるようだ。安易に悪口として「反知性主義」を使うと、知性ある人に陰で笑われることもありえるのだ。
デイリー新潮編集部
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