【記者のベストレース２０２４】モレイラが見せた〝魔法〟 桜花賞で何が起きたのか？／藤井真俊
藤井真俊【桜花賞・ステレンボッシュ】
ダノンデサイルの〝皐月賞競走除外からのダービー戴冠〟も相当にインパクトがあったが、自分が直接取材していない関西馬であるうえ、たぶん他の記者が書くような気もするので、あえてパス。そこで今年は、自分が担当する国枝厩舎のステレンボッシュが勝った桜花賞を取り上げたい。 当日のオッズは２番人気。阪神ＪＦ（２着）で苦杯をなめさせられたアスコリピチェーノが１番人気だったが、この桜花賞で見事にリベンジに成功した。 その立役者となったのは〝マジックマン〟の異名をとる鞍上のＪ・モレイラだったが、この桜花賞で魅せた超絶美技は、まさに〝魔法〟のようだった。 前半は進みが悪く後方から。３コーナー入り口では中団馬群の真っただ中、とてもＶポジションには見えなかった。しかし、そこから４コーナーにかけてジワジワと位置取りを上げると、直線入り口ではアスコリピチェーノを外にはじいて進路を確保。ライバルを置き去りにしてみせた。 管理する国枝調教師はレース後に「あれぞモレイラ・マジックだよ」と舌を巻いていたが、筆者も全くの同感。世界トップレベルの技術をまざまざと見せつけられた一戦だった。
藤井 真俊
