ヤマハが電動車いすの完成車販売をやめて「ユニット専業メーカー」になることを宣言した理由
また今後の展開として、福祉以外への展開も視野に入れているという。電動化ユニットをプラットフォームとして活用し、施設での搬送用モビリティへの転用などを見込む。
◆移動の楽しさや自由を実感できるモビリティ
今回発表されたJWG-1は、前述のように完成車ではなく、後付けで手動車いすに装着することで電動車いす化することができるシステムユニットだ。主に車いすメーカーに供給し、手動車いす製品に装着することで電動化をおこない、新車として販売することを想定している。ユニットは、電動モーターを内蔵した左右輪、操作レバーと液晶ディスプレイを持つ操作部、そしてバッテリーと充電器からなる。
JWG-1はこれまでの製品と比べ、タイヤ軸トルク性能を向上し従来の片側25.3Nmから同50.1Nmへと倍近くにパワーアップ。さらにユニット耐荷重量を125kgから160kgまで引き上げた。またかねてより要望が多かったというノーパンクタイヤをオプションで選べるようにしたほか、ユニットに内蔵したブルートゥースを通じてスマートフォンアプリ連携をすることで、乗員の症状・状態に合った加減速度や操作性のチューニングもおこなうことができるように。
操作部では、液晶画面をより見やすいように位置変更やUIを変更、介助人が操作する場合のアクセル操作をボタン式からレバー式にするなど、より利用実態に沿ったアップデートが施された。脱着式バッテリーは、連続走行距離をあえて20kmと従来より抑えることで、要望の多かった小型軽量化(1kg減の2.4kgに)を実現。現場からも20km程度走れば十分だという声があったためだという。
31日におこなわれたメディア向け発表会では、実際に従来型と新型の比較試乗をおこなうことができたが、従来型でもレバー操作のみでストレスなく走行できたものの、新型ではより力強くスムーズに走行できることが確認できた。
特に、芝生のようなタイヤを取られる場所での走行は身体や操作への負担が発生するが、新型はトルクがある分、細かいレバーの調整も必要なく凹凸をいなして真っ直ぐ走ってくれるため、よりストレスを感じずに走りきることができ、その場での旋回もゆうにこなすことができた。