なぜ目黒蓮の演技は視聴者を引き込んだのか? 『海のはじまり』で追求したリアルな芝居の真骨頂とは? 考察&評価
『海のはじまり』に込められたメッセージ
目黒は言葉や表情、声の強弱だけではなく、細かく体を使いながら夏を一生懸命に演じていた。かつてのコメディ色を強くした作品ならば「みんなで暮らそうよ!」なんて底抜けに明るい主人公が言ってのけたかもしれない。 本作では様々な親と子の形をじっくりと描き、1人ひとりが考え、思いを語り、周囲もまたそれにじっくりと耳を傾けていた。全話を通して様々な立場や考えに触れ、物語に託されたメッセージを受け取った。 その中で「人生とは、選択の連続である」というシェイクスピアの名言が浮かんだ。選べることばかりではないが、自分と大切な人の人生をより幸せに生きていくための選択。その中には、理解が得られることばかりではないが、型に囚われず、時にはみ出したとしても、その時の最良の選択を!と背中を押してくれるような作品だった。 アイドル活動と並行し、俳優・目黒蓮として今後どんな役者になっていくのか。彼の成長と共に、目黒がどんな作品の世界へ誘ってくれるのか、これからが楽しみだ。 【著者プロフィール:柚月裕実】 エンタメ分野の編集/ライター。音楽メディア、エンタメ誌等で執筆中。コラムやレビュー、インタビュー取材をメインにライターと編集を行ったり来たり。SMAPをきっかけにアイドルを応援すること四半世紀超。コンサートをはじめ舞台、ドラマ、映画、バラエティ、ラジオ、YouTube…365日ウォッチしています。
柚月裕実