保育の質向上へ1933億円計上 保育士の処遇改善 25年度予算案
政府が27日に閣議決定した2025年度予算案は、一般会計の歳出総額が過去最大の115兆5415億円になった。歳出の3割を占める社会保障や拡大が続く防衛、石破茂首相が注力する地方創生など焦点となった分野はどんな予算になったのか。 【まとめ】2025年、私たちの暮らしはこう変わる こども家庭庁は2024年度比で2兆円増の7・3兆円を計上。23年12月閣議決定のこども未来戦略「加速化プラン」に基づく施策を本格化させる。 保育の質の向上に計1933億円を計上する。1歳児に対する保育士の人数を国の基準(子ども6人に対して1人)より手厚くし、一定の要件を満たした保育所に人件費相当分を加算する。保育士らの処遇改善として、人事院勧告を踏まえて人件費を前年度比10・7%増と大幅に引き上げる。 子育てと仕事の両立支援として計4315億円を計上。25年4月から、両親が共に育休を14日以上取得すれば最大28日間、手取り収入の実質10割に当たる給付金を支給。育児のために時短勤務をする場合の補助も盛り込んだ。 児童手当の給付分としては2・1兆円を計上。24年10月分以降、所得制限の撤廃など大幅拡充した。 児童虐待防止やヤングケアラー支援には計4033億円を計上。こども家庭庁は25年度からの2年間で、児童相談所で対応にあたる児童福祉司を910人程度増員する計画を策定しており、児相職員の採用や定着支援も盛り込んだ。 子どもの貧困対策やひとり親家庭の支援に計1939億円を計上し、低所得世帯の子どもの大学受験料を補助する制度を恒久事業として創設。医療的ケアが必要な子どもの一時預かり事業など、障害児とその家族への支援も盛り込んだ。 予算総額のうち児童手当など3兆円分は、26年度から徴収を始める子ども・子育て支援金の負担と給付を「見える化」するため「子ども・子育て支援特別会計」に計上される。支援金徴収開始までの財源不足を補うつなぎ国債を1兆1397億円発行する。【塩田彩】