かんぽ不適切販売問題 特別調査委が会見(全文1)モラルに欠ける募集人が存在
乗り換え契約に関する特有の原因
次に乗り換え契約に関する特有の原因としましては、条件付き解約制度および契約転換制度等が導入されてこなかったこと。乗り換え契約の募集に係る社内ルールに不明確な点があったため、形骸化や潜脱を招き、適切な運用がなされていなかったこと。高齢者募集や多数契約募集など他の類型への対策が優先されたため、不適正な乗り換え契約への抜本的な対策が遅れたことであります。 次にかんぽ生命保険商品の募集に係るコンプライアンス・リスク管理体制の問題点について述べます。事業部門である郵便局の募集現場における不適正募集の防止に向けた管理体制が不十分であったこと。管理部門に対する牽制が不十分であったこと。内部監査部門による検証も不十分であったこと。4番目は事業子会社のコンプライアンス、リスクに関する情報が日本郵政に適時にもたらされる体制が構築されていなかったこと。 次は日本郵政グループのガバナンスに関する問題点についてであります。かんぽ生命のガバナンスに係る問題点。リスク感度の低さに起因し、リスク事象を探知した際、根本原因の追究と抜本解決を先延ばしにし、問題を矮小化する組織風土であったこと。縦割り意識に起因する部門間連携不足と情報伝達の目詰まりが生じていたこと。
ガバナンスの問題点
次に日本郵便のガバナンスの問題としましては、重層的な組織構造の中で郵便局の現場で発生している不適正募集の実態の把握ができていなかったこと。日本郵便において金融コンプライアンスの要請に適切に対応する体制が構築されていなかったこと。コンプライアンスを狭義の法令違反と捉え、顧客本位の観点からかんぽ生命の保険募集に求められる対応がなされていなかったことです。 次に日本郵政のガバナンスの問題点。持ち株会社としての日本郵政が果たすべき役割や、グループガバナンスの在り方について、全役員のコンセンサスが得られていなかったこと。グループの企業価値が毀損する恐れのある情報の共有等に関するルールが明確でなかったことなどから、不適正募集の実態に関する情報が不足していたため、必要な対策を講じることができなかったことであります。 次に私ども委員会が考えました主な具体的改善策について述べます。1つは募集状況の可視化(録音、録画)。2番目は不適正募集のリスクがある契約をシステムにより営業のフロントで簡易に検知できる仕組みの整備。3番目は新規契約の獲得に偏った手当および人事評価の体系の見直し。4番目は不適正募集を行った募集人および管理者に対する処分の徹底。これについては顧客に重大な不利益が生じている悪質事案について、外部専門家の協力を得て事案の徹底解明を図る体制の構築。2つ目は募集人の自認に依存しない不祥事件および不祥事故の適正な判定と第三者による定期検証。3番目は不適正募集を発生させた募集人の管理者に対する処分の厳格化。次に不祥事件または不祥事件の判定ができなかったとしても、かんぽ生命が一定の基準に基づいて適格性を欠く募集人の募集停止を可能とする制度の導入。不適正募集を行った募集人に対する管理者等によるモニタリングの厳格化であります。 5番目は募集コンプライアンスに特化した通報制度の設置と通報内容の各社取締役等への定期報告。さらに6つ目といたしまして、責任部署と責任時期を明記した改善策等を策定し、外部専門家で構成された第三者機関のモニタリング等を受けながら、定期的にその進捗状況を適時に各社の取締役会等に報告し、かつ公表することであります。