昨季の下位チームの奮闘、ラグビーリーグワンでは意外な結果が続出…プレーオフ制覇へ…シーズン終盤の成長がカギとなる
◇コラム「大友信彦のもっとラグビー」 年末年始、ラグビーリーグワンでは意外な結果が続いた。優勝争いの常連である東京SG、大型補強で躍進が期待されたトヨタがまさかの連敗スタート。この両チームは新春4日、互いに初勝利をかけて直接対決したが30―30のドロー決着。開幕から3節を経てともに未勝利は、トヨタにとってトップリーグ時代の08年度以来16季ぶり。東京SGにとってはトップリーグ設立後初めてだ。 そんな異変を起こしている主役は昨季の下位チームだ。昨季10位のBR東京は第2節で、トップリーグ時代の04年度以来20季ぶりに東京SGを撃破。同じ第2節、昨季11位に終わった三重は、関西社会人リーグ時代の1992年以来32季ぶりでトヨタから勝利。第3節では一昨季の王者・東京ベイに敗れたものの27―32と肉薄した。過去3季連続で8位の静岡は初戦で神戸を8季ぶりに破るなど開幕から3連勝だ。 BR東京には今季、ニュージーランド代表オールブラックスで89キャップを持つSHペレナラが加入し、チームを活性化。三重は元日本代表のFBレメキを獲得するなど大型補強。各チームの戦力整備が進み、実力が均衡化してきたのだ。 とはいえ、出遅れたチームも悲観的になってはいない。第3節で初勝利を逃したトヨタのハンセン・ヘッドコーチ(HC)と姫野主将、東京SGの小野HCと堀越主将は「結果は出ていないが成長している」と口をそろえた。 目の前の結果に一喜一憂しない背景には今季の日程変更がある。リーグワンは今季、試合数が従来より2試合増え、プレーオフへの出場枠も4から6に増えた。過去のリーグ戦6位の成績を見ると、昨季は東京ベイで8勝7敗1分、一昨季はトヨタで8勝8敗。今季も3節終了時で6位の神戸は1勝2敗と黒星が先行している。プレーオフ進出へのボーダーラインは勝率5割前後になりそう。どのチームもまだまだ巻き返し可能だ。しかもリーグワンは過去3シーズン、リーグ戦1位チームはプレーオフ決勝で敗れている。優勝のために必要なのは、シーズン終盤に向け、どう成長するかなのだ。 そして2月には大学のシーズンを終えた新人がアーリーエントリーで加入してくる。今季の大学4年生には大学選手権決勝を戦う早大の佐藤、帝京大の青木両主将をはじめ日本代表クラスの逸材も多い。進路はまだ発表されていないが、各チームの陣容は2月には変貌している可能性がある。 目の前の試合を戦いながら、次世代をどう成長させるか。各チームの育成戦略にも注目したい。 ▼大友信彦 スポーツライター、1987年から東京中日スポーツ・中日スポーツでラグビーを担当。W杯は91年の第2回大会から8大会連続取材中。著書に「エディー・ジョーンズの監督学」「釜石の夢~被災地でワールドカップを」「オールブラックスが強い理由」「勇気と献身」など。
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