大阪ブルテオンでの大胆なリブランディングやアジア戦略、さらには夢のスポーツバーまで パナソニック スポーツ久保田剛社長にインタビュー!
積極的に東南アジアに乗り込んでいく理由
大阪ブルテオンが自主独立で回すために久保田社長が最も重要だと考えるのが、リーグの放映権の収入拡大。そのためにも、アジア市場は大切だと久保田社長は訴える。現在東アジアや東南アジアでは、日本代表が当地で試合を行った際には、超人気アイドルグループのごとく悲鳴が起こるほど。また、日本代表でなくても日本のバレーボール選手への人気が非常に高い。ただ、それをどうビジネスなどにつなげていくのか。 大阪ブルテオンは昨年秋、サントリーサンバーズ大阪、ウルフドッグス名古屋と共にタイで試合を行い、日本のバレーファンであるタイ人女性を中心に、多くの観衆を集めて話題となった。 今年はフィリピンから国際大会に招待されて、9月7、8日に女子のSAGA久光スプリングスと共に現地で試合を行った。さらにタイでの興行も継続する。こういった活動の先に見据えるのが、SVリーグの放映権・配信権による収入大幅増。リーグがその収入を増やしたら、当然チームにも分配される。 「最終的にはやはり放映権。これはリーグと共同してやらなきゃいけない。リーグはバレーボールワールド(※)と交渉もしてくれているし、独自でSVリーグとしてタイの放送局に交渉していくことも可能性としては今後ありうる。大阪ブルテオンらがアジアに出て興行するのは、最終的には日本のリーグ戦の放映につなげたいためで、興行と放映権のセールスはセット。試合興行のみでは意味がない。アジアの国々で日本のリーグ戦を放送してもらうのがメイン。サッカーのプレミアリーグと一緒で、プレミアリーグのチームがアジアツアーをやっているが、メインはイングランドで行われる試合を観てもらうこと。(今や世界中のファンが)放送を通じて見ていてくれる。だから、放映権が高くなっていく。今、SVリーグは、人気のある海外リーグと肩を並べられるくらいの価値を既に持っていると思う。だから、それをちゃんとお金にして回せる仕組みを作っていきたい」 (※国際バレーボール連盟と投資会社の合弁企業。国際大会や配信プラットフォームを運営する) 放映権交渉自体は、SVリーグを管轄する一般社団法人ジャパンバレーボールリーグ(JVL)の範疇ではあるが、そのきっかけを作ってもらうためにも、久保田社長は先頭に立って他のチームにも参加を呼び掛けて、アジア興行に乗りこんだ。 「会場に1万人が入ってものすごい歓声が起こると、誰もがこれはすごいと感じてくれる。そこに可能性を感じるだろう。タイのテレビ局、タイの企業、もしかしたらタイに会社のある日本の親会社もそうかもしれない。(リーグが発信している)SVリーグを世界のトップリーグにするというのは、私はできると思っていて、それをやりたいからこそ、今回9月14、15日のタイへのツアー(※※)を見てほしいと大河さん(JVLの大河正明チェアマン)たちに要望した」(久保田社長) (※※大会名称は、JAPAN VOLLEYBALL ASIA TOUR IN THAILAND2024「Panasonic ENERGY CUP」) こういった活動の先、数年後にはSVリーグの開幕戦を東南アジアで行うことも視野に入ってくる。そしてさらにアジア市場での拡大や放映権のセールスへとつながるという好循環になる。 久保田社長が大阪ブルテオンで取り組んでいることは、チームの発展だけでなく、SVリーグや日本のバレーボール界の発展にもつながっていくだろう。