大阪ブルテオンでの大胆なリブランディングやアジア戦略、さらには夢のスポーツバーまで パナソニック スポーツ久保田剛社長にインタビュー!
どうやったらバレーで稼げるか?そのために必要な「仕組みと装置」
久保田社長が担うミッションの一つが、どうやったら稼げる様にできるか。常々バレーはチャンスがあると話しているが、そのために必要なことが「仕組みと装置」という。それはガンバ大阪の状況においても見て取れる。 ガンバ大阪のホームスタジアムである「パナソニック スタジアム 吹田」は2015年9月に竣工し、2016年から本格稼働している。4万人が入るサッカー専用スタジアムで、今シーズンは多くの試合で観客数2万~3万人台を集めている。 スタジアムはガンバ大阪が主体となった団体が建設し、完成後に吹田市に寄附。そして、ガンバ大阪が指定管理者として運営をおこなっているが、スタジアムを構えきれなかったクラブに比べ、収益面で違いが出ているという。 「ガンバは、外部収入、つまり母体企業以外の収入も多い。スポンサー料、入場料、飲食代などマッチデーインカムが見込めるため、チーム単独で自主独立できている。こうなるには条件があって、それが『仕組みと装置』です。仕組みとはリーグ戦の試合数とか、サラリーキャップ、選手の保有人数の制限といったもの。財務破綻しないよう気を付けながら、ルールの公平性を守りつつ、試合を増やして収入につなげる仕組みを作る。もうひとつが、アリーナ、スタジアム(=装置)を作ること。装置がない状態で、いきなりプロ(プロリーグ、プロチーム)になっても稼げない。バスケがBリーグとなって苦労したことの一つがこれ。チームごとの装置が十分整っていなかったからだと思っています」
毎試合満席状態で既に機会損失状態
大阪ブルテオンは自前のパナソニック アリーナを持っているが、悩みを抱えている。観客3000人収容可能だが、昨シーズンのVリーグではホームゲームは毎試合満席状態。観戦したくてもチケットが買えない状況が多発していた。 「今シーズンも席数を増やす努力をしたが大きな改善は出来ず、また買えない人があふれてしまう。現在ファンクラブ会員数は、有料無料を合わせて3万人を超えました。観戦したくてもチケットを買えない人があふれてしまっている状況で、大きな機会損失なんです…」 SVリーグはホームアリーナで80%以上の開催を条件とし、2030年以降は5000人以上の収容を参入基準にしている。大阪ブルテオンは既に5000人、もしかしたらそれ以上の観客を集められる力を持つにもかかわらず、現状は毎試合千人単位で観戦希望者が機会を逸しているかもしれない。 今まさに男子日本代表の人気もあり、SVリーグに対する注目が高まっていて、これまで観戦したことがない人たちも含めて新規ファンを取り込めるチャンスがある。現在、新アリーナについての検討を進めているが「まだ詳しく話せない段階」(久保田社長)にある。 当面は残り20%の部分で、キャパの大きい外部のアリーナを活用する計画だ。機会損失という点を踏まえて、新アリーナ確保までの暫定的な特別措置としてSVリーグには「80%」の緩和を認めてもらえるよう相談する考え。