科学的に「糖質中毒」から脱する方法 悪性度ナンバー1の飲食物とは
依存のメカニズム
過剰な糖質摂取によって引き起こされるのは肥満だけではありません。糖質を過剰摂取しているとインスリンの働きが弱くなり、行きつく先は「糖尿病」です。糖尿病になると免疫系の機能が低下するため、がんや心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマー病などあらゆる病気にかかりやすくなります。さらに血液中に溢れたブドウ糖は血管の壁にくっついて傷を作り、全身に酸素や栄養を送り届ける血液や血管の状態も悪くします。 いかがでしょう。糖質の過剰摂取がいかに危険で有害か、これでお分かりいただけたでしょうか。 では、このように危険な糖質の過剰摂取を続けるとどうなるのか。続いては、依存のメカニズムについてお話ししましょう。 カギとなるのは、やはり「血糖値」です。血糖値は糖質を摂取したときやストレスを感じたときなど、私たちの知らないところで一日中、上下しています。血糖値の変動自体は自然な動きで、一日を通じて70(空腹時)~140(食後)mg/dL程度で動いていれば問題ありません。ところが糖質を過剰摂取すると血液中にブドウ糖が溢れ返り、血糖値が急上昇するのです。健康診断では何の異常もない若者が、食後に180を超える血糖値を示すことも珍しくありません。
物理的に遠ざける
急上昇した血糖値を下げるため、膵臓からは大量のインスリンが分泌されます。これによりブドウ糖は一気に分解され、今度は血糖値が急激に下降。低血糖も命に関わりますから、脳がさまざまな不快症状を発して「糖質を取れ」と指令します。この不快症状にはイライラや強い空腹感、冷や汗、動悸(どうき)や震え、吐き気などがあります。糖質中毒者が糖質を欲するのは、まさにこの「脳からの指令」に突き動かされているわけです。 一方、脳の指令に従って糖質を取ると、今度はドーパミンが分泌され、ご褒美として幸福感を得させてくれます。皆さんも「イライラしてチョコレートをつまんだら満たされた」といった経験があるかもしれませんが、それこそが中毒症状の入り口なのです。 糖質摂取による幸福感は長続きしません。糖質を取ると血糖値はジェットコースターのように急上昇のち急降下。不快感を覚えて、体は糖質を再び欲するのです。このような「悪魔のサイクル」に陥れば、完全な糖質中毒です。 時折、「イライラしたり集中力が切れたりするのは、脳のエネルギー不足」と糖質の摂取を正当化する方がおられますが、これは誤り。確かに通常は脳のエネルギー源としてブドウ糖が使用されますが、ブドウ糖が不足したからといって脳が働かなくなることはありません。甘いものを食べないと脳が働かないのは、糖質中毒の禁断症状を起こしているだけ。いわば「ヤクが切れた」状態です。