「東京一極集中」のメリット・デメリット 論点は? 解決策は?
国土にも定員がある
人の住まない人口空白地域が2割、空き家が3割を超え、半数以上の市町村で人口が半減する時代が始まる。人口減少でもGDP500兆円という今の経済規模をAI、ロボット、ハイテク技術で維持できるなら、日本はゼロ成長でも豊かになる。労働生産性を上げる技術開発に大いに投資すべきだ。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2100年に日本の人口は6000万人を切る。1億2000万人が暮らしやすいように整備した道路、橋、公共施設、住宅などを6000万人で上手に使うなら、むしろ世界で一番豊かな国になる。 乗り物にも定員があるように、国土にも定員があるはず。今までそうした見方はなかったが、この先、人口が2分の1まで減る流れは、超満員電車から快適な通勤環境の「定員」に向かっての揺り戻し現象と見ることはできないか。過密都市東京を「過密なき東京」、スリムな1000万都市に変えることができたら、日本全体も真に豊かな国に変わっていく。東京は量より質で勝負する時代にシフトしていくべきだ。それがいま政治のやるべき最大の課題ではなかろうか。 (佐々木信夫・中央大学名誉教授)