「東京一極集中」のメリット・デメリット 論点は? 解決策は?
一極集中は“諸悪の根源”
だが、それが大方の見方ではない。むしろ東京一極集中は過集中であり、「その解消こそが日本を救う」という見方も強い。一極集中反対派が主張するデメリットは以下の点だ。 【1】 ヒト、モノ、カネ、情報が量的に過集中し、国内不均衡が拡大している。人口や産業、雇用、情報、大学などの東京一極集中は止まらず、このままだと人口の50%が東京圏に飲み込まれ、地方は過疎化がより深刻化し「地方国」は沈没する。 【2】 政治、行政、経済、情報など高次中枢機能の一極集中は過度であり、国の危機管理の側面から見ると歪んでいる。いざ首都直下地震が起こると首相官邸、各省庁、国会、裁判所などこの国の3権力が機能停止になり、東京はおろか日本全体が麻痺する恐れがある。しかも、その損害は数百兆円の大損害になる可能性がある。 さらに、東京や首都圏で大停電が起きれば、近代日本で経験したことのない数千万人という規模で市民生活に甚大な被害が出る。住人は何日間も上下水、電気、ガス、通信回線のストップに混乱し、デマ情報などが流されれば、群集がパニックに陥る。 【3】 前例のない「老いる東京」問題も加わる。ここでいう「老いる」とは、人の高齢化だけでなく、インフラの老朽化を含む。東京を「豊かだ! 繁栄だ! 機関車だ!」と礼賛しているうちに影の部分が膨らみ、日本最大のリスクを負う状況になってきた。東京五輪・パラリンピックが終わると東京大不況が発生するという予想が大方だ。経済低迷に加え、橋が落ちトンネルの壁が崩落し、古くなった首都高はあちこちでひび割れし、交通渋滞が慢性化する東京になる恐れが出てくるのだ。高齢化が加速し、インフラが維持できず、都市のスラム化も起こるかもしれない。
“東京は豊かだ”と政策的にも放置されてきた結果のツケが一気に噴き出す。老いる東京の解決コストは膨大で地方に配分してきた16兆円地方交付税の半分を東京に投入せざるを得なくなるのではないか。すると東京も地方も共倒れの事態になる。