サンヨーコートの最高級シリーズ「100年コート」には、日本のものづくりの良心が宿っていた
使用されるコットンギャバジンもオリジナルだ。
「糸の染めから織りまでを一貫して管理する埼玉県の染色・織機工場で生産しています。質の高いギザコットンを原料に、美しい色を保ち続けるよう糸の段階で染色を行います。タテ糸はベージュ、ヨコ糸はゴールドに染め、色味の異なる2つの糸を高密度に織り上げることで、上品で深みのある表情に仕上がります。長年にわたって受け継がれてきた染織・製織技術の賜物です」
表面には、突然の雨にも対応できるようはっ水加工が施されている。
「高機能素材の開発・生産において国内随一の技術力を誇る日本の織物整理加工場によって加工されたコットンギャバジンは、表面のはっ水性だけでなく、水を通しにくい耐水度試験もクリアした特別な生地です。たしかなはっ水性は、レインコートをルーツとする私たちのこだわりです」
細部にも職人の技が凝らされている。
「コートの顔ともいわれる襟まわりは、印象を左右する重要な部分です。この部分の縫製は、曲線と生地の風合いとの相性が重要になる難しい工程です。そのため、職人が一針ずつ手作業で縫い上げることで、ゆるやかな曲線を生み出します」 上品なラペルの返りにも秘密がある。 「ラペルは返りに合わせて、表側と裏側の生地を1ミリ以下の単位でずらして縫製しています。こうすることで、襟の返りに自然な立体感が生まれます」
長く使い続けるための工夫も随所に。
「ボタンは、根巻きと呼ばれる手法で職人が取り付けています。これはボタンの根元部分に高さを出すもので、着脱しやすいだけでなく、長年使用しても取れにくいというメリットがあります。また、袖口から袖ベルトまでは、あえて長めに設計しています。これは長年の着用で袖口が擦り切れた際に、何度でも修理できるようにするための工夫です」
本物志向に応える個性豊かなラインアップ
100年コートには「スタンダードモデル」以外にも、バリエーションが存在する。
「クラシックモデル」は一枚袖のラグランスリーブが特徴だ。 スタンダードモデルよりも肩や袖まわり、身幅にゆとりがあり、内部につながる貫通ポケットやマガジンポケットといった本格的なトレンチコートのディテールもあしらわれている。