<米国で高まるイランへの警戒>核兵器製造準備へ米国が評価を変えた三つの可能性
ウォールストリート・ジャーナル紙が、米国の国家情報長官が7月に議会に対して行ったイランの核計画についての報告において、イランが核兵器計画に着手する準備を以前よりも整えているとの情報評価を示していることを報じる解説記事‘Iran Is Better Positioned to Launch Nuclear-Weapons Program, New U.S. Intelligence Assessment Says’を8月9日付けで掲載している。概要は次の通り。 米国の情報機関の新たな評価によれば、イランは核兵器計画に着手する準備を以前よりも整えているとのことである。イランは数個の核兵器のために必要な高濃縮の核物質をすでに製造している。 米国の情報コミュニティは、依然としてイランは現在、核装置を製造する作業自体は行っていないと評価している。イランの核兵器計画は、2003年にほぼ中断されたものとみられているが、最高指導者のハメネイ師がこれを再開させるよう考慮しているとの証拠もないとのことである。 一方、国家情報長官の7月の議会への報告では、イランが「核装置を生産すると決めれば、それに着手する準備を以前よりも整えている」と警告している。また、この報告では、イランは「実験可能な核装置を製造するのに必要となる、核兵器開発の主要な活動には現在のところ従事していない」というこれまで何年もの間、用いられてきた標準的な表現が削除されている。 ハマスの指導者がイランにおいて暗殺され、イランがイスラエルを攻撃すると脅して以来、中東では緊張が高まっている。米国はイランが核兵器を取得することを決して認めないとバイデン大統領は累次にわたって述べてきた。イランが核装置の製造に乗り出したと米国が判断すれば軍事行動をとる可能性が高まることとなる。 共和党は、バイデン政権の対応が不十分であると批判しているが、バイデン政権の方はトランプ前大統領が2015年のイラン核合意から離脱したため、イランが核活動を活発化させたと反駁している。