5.6東京ドーム「井上尚弥vs〝悪童〟ネリ」を、挑戦者と2度戦った山中慎介がフィニッシュまで大予想!
34年ぶりに東京ドームで開催されるボクシング興行としても話題の、スーパーバンタム級世界4団体統一王者、井上尚弥vs挑戦者、ルイス・ネリ。〝悪童〟と呼ばれるこの挑戦者とかつて2度対戦した山中慎介氏が、歴史的一戦の見どころから決着予想まで語り尽くす! 【写真】井上尚弥との対戦が期待される日本人ボクサー ■相手を巻き込むネリの回転力 山中慎介氏は2017年8月と翌18年8月の2度、同じサウスポーのルイス・ネリと拳を交えた経験を持つ。初戦はWBC世界バンタム級王座の13度目の防衛戦だったが、後にドーピング違反が発覚する挑戦者に4回TKO負け。王座奪回のために臨んだ再戦は大幅な体重超過のネリに2回TKOで敗れ、それを機に引退した。 もしも初戦で山中氏がネリに勝っていたら、その翌年にバンタム級に転向した井上の挑戦を受けていた可能性もあっただけに、同氏にとって今回の井上vsネリは特別な感慨を持って見る試合となる。 まずは、自身とネリとの2試合を振り返ってもらった。 「初戦は自分の右ジャブが当たる距離でスタートできたんですが、4回にバランスを崩したりロープに追い詰められたりした。効いてはいなかったし、こちらも左を狙ってはいたんですが......」 不完全燃焼に終わった試合をそう振り返る。 約半年後の再戦は試合前日の計量でネリが2.3kgも規定体重をオーバー。再計量時には1kg減らしていたが、それでも階級リミットを1.3kg超過していた。試合はネリに体重のリバウンド制限が課されて行なわれた。 「ネリにリベンジするために再起したので、故意とも思える体重オーバーの時点で僕自身のメンタルがやられましたね。勝ったとしても素直に喜べないというか。そんなこと関係ないと開き直って戦えればよかったんでしょうが」 今年3月6日、井上vsネリの発表会見の会場で山中氏は因縁の相手と再会した。 「(質疑応答のとき記者から)相変わらず責められているなと遠目に見ていました(笑)。実際に会ってみると6年前のことがよみがえってなんとも言えない気持ちになりました。会見のときのネリはいい子モードだったんでしょう。メキシコに戻ってからはまた言いたい放題みたいですからね」 複雑な思いは今も? 「すっきりしたわけではないけれど、もうわだかまりはありません。さすがに応援する気にはなりませんが。井上君と東京ドームで試合をするんだからしっかり仕上げてこいよって話ですよね」 肝心のネリの実力はどうなのだろうか。 「実際に戦ってみて、全体的にパワフルではあるけれど一発のパンチ力がめちゃくちゃ強いとかスピードがあるというわけではありませんでした。ただ、パンチの回転が速くて、止まっていると巻き込まれて連打を浴びるという感じですね。回転の中でフック系やアッパー系のパンチが多いのも特徴だと思います」 〝パンテラ(黒豹)〟の異名どおり、連打を浴びせる様子は獲物に襲いかかる捕食活動を連想させるものがある。 「そのイメージはあるかもしれない。連打は速さもあるし迫力もある」と山中氏は評価するが、一方で隙もあると指摘する。