【高校サッカー選手権】日本文理が2本のCKから鮮やかな逆転勝ちで準決勝へ
FW9長谷川龍神(3年)の爆発的なスピードを軸に縦へ速いサッカーを仕掛ける東京学館新潟に対し、前半の日本文理は「少し怖がっていた」(駒沢隆一監督)。身上とするハードワークが空回りして思うように圧力をかけることができず、逆に間延びしたラインの間を突かれる展開。後半に入っても嫌な流れを断ち切れず、早々に長谷川に先制点を奪われた。 【フォトギャラリー】東京学館新潟 vs 日本文理 しかしこれで「文理魂」に火が付いた。「このままじゃ3年間が終わるぞ」。円陣を組み、2年前の県制覇メンバーで主将のDF5赤阪和輝(3年)が檄を飛ばす。目が覚めた日本文理は持ち味のショートカウンターが機能し始め、押し込んで得たCKから後半19、25分と立て続けに得点を重ねて逆転に成功。「早い時間帯でセットプレーから点を取れればもっと楽な展開になるからと思っていたが、なかなか簡単ではなかった」と駒沢監督は試合を振り返ったが、先制されても指揮官にも主将にも焦りはなかった。北信越プリンスリーグ1部で何度も劣勢を跳ね返して逆転勝ちを収めてきた日本文理には、経験に裏打ちされた自信があった。2点目、3点目を交代選手が決めるなど采配も光った。 一方、想定外だった早い先制点に東京学館新潟の選手たちは気持ちが沸き立ち、それまでうまくかわしていた相手の圧力をまともに受けて立ってしまった。「もう少し我々が…」と、小林健太朗監督はベンチワークを悔やんだ。 日本文理は11月2日の準決勝で、昨年大会の準々決勝でアディショナルタイムに決勝点を奪われて敗れた相手、開志学園JSCと戦う。この日の試合で両チームが見せたように、準決勝もセットプレーの出来が鍵を握りそうだ。相手には今大会注目のストライカー阿部日夏太がいる。阿部には昨年先制点を決められている。「昨年ああいう形で負けたんで、今年こそはという気持ちはもちろんあります。難しい試合になることは分かっている。その中で自分たちに何ができるのかを、練習から突き詰めていきたい」(赤阪) (文・写真=いのうえ・しんじゅ)