「頭が真っ白に」母の本音…ヤクルト2位指名、モイセエフ・ニキータの“ドラフト裏話” 密着記者が目撃した指名直前「監督とのあるやり取り」
10月24日のドラフト会議で東京ヤクルトスワローズから2位指名を受けたモイセエフ・ニキータ(17歳/豊川高)。ロシア出身の両親を持つ高校球界屈指のスラッガーは、いかにして同校“27年ぶり”の指名を受けたのか。ドラフト当日の豊川高校に密着した。《全2回の2回目/前編から続く》 【写真】「パパママ嬉しそう!」「幼い弟たち可愛すぎる…」モイセエフ・ニキータの“27年ぶり指名”に手作りの会見場が沸いた瞬間!家族愛を感じる写真に、「飛ばないバット第1号」となったセンバツホームランも。この記事の写真を見る。 ◆◆◆ どこか懐かしく、のどかな空間だった。折りたたみの会議用テーブルにパイプ椅子と、“手作り感”のあるセッティングが、むしろあたたかみを感じさせた。 ドラフト会議当日の15時過ぎ、モイセエフ・ニキータの指名を待つ豊川高校の第1会議室では、地元局のテレビクルーや新聞社の記者、カメラマンが準備を進めていた。指名が始まるまで時間があるため、まだ日常の延長といった雰囲気だ。 そんななか、いち早く会見場にやってきた野球部OB会の林一彦さんに話を聞いた。「センバツのホームランを現地で見たんですよ」と記念のタオルを広げつつ、ドラフトへの期待をこう語る。 「なるべく上位で、できれば球場の小さいところがいいなあ。地元だけど、中日はちょっとね……。バンテリンドームは広いから」 この日のために新調したというスリーピースのスーツを着た長谷川裕記監督も会見場に姿を見せた。前日取材の感謝を伝える。すると、「ウチの2年にプロを目指している選手がいるんです。よかったら話してみませんか?」とモイセエフの1年後輩である中西浩平投手を紹介してくれた。 「ニキータ先輩は後輩にすごくやさしくて、いやなことも率先してやってくれる人。怒られたこと? ないです!」 最速147km右腕の中西投手の目標は、来年の夏までに150kmを超えること。「ニキータ先輩のようなレベルの高いバッターと対戦できて、成長させてもらっています。こんなふうにドラフトを体験できる機会はなかなかないので、本当に楽しみです」と目を輝かせた。
「モイセエフ・ニキータ選手、入場です!」
モイセエフの家族も来校し、3男のアルチョームくん(10歳)と4男のキリルくん(5歳)が長谷川監督や野球部員たちと戯れている。15時40分、野球部の山野井伸仁部長が報道陣の前に立ち、取材の注意事項を読み上げたうえでこう告げる。 「選ばれれば喜ばしいことではありますが、生徒たちにとって受験を控えた大切な時期なので、地に足をつけてお願いできれば。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。私も初めての経験なので、みなさんといい瞬間を味わいたいと思います」 数分後、3年生の野球部員たちが会見場にやってきた。 「こんにちは!」と気持ちのいい挨拶の声。すこし遅れて山野井部長が「モイセエフ・ニキータ選手、入場です!」と告げると、“本日の主役”が姿を見せた。部員たちの拍手を浴びて照れくさそうにしていたが、クリーニングに出したであろうシャツはパリッと襟が立っていた。 会見場の最前列に座り、野球部員たちと談笑するモイセエフ。セルフィーを撮ったり、「宗山選手、どこいくかな?」と予想したりと、高校生らしいガヤガヤとした雰囲気が微笑ましい。 16時30分ごろ、前方のスクリーンに「地元の高校No.1打者」としてCBCテレビの紹介VTRが流れ、「うおー!」と歓声が響いた。前日は不安を口にしていた長谷川監督も楽しげだ。指名前にもかかわらず、「いまのうちに、わちゃわちゃしてるところ撮ってもらおう」と集合写真の撮影までしていた。
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