シティボーイが一人前になるための普段着。
スーツは大人の服ゆえに明確なルールが横たわっている。ベルトと靴の色は揃えたほうが無難とか、異なる柄を重ねないほうがベターとか。なのに、である。英国人俳優のトム・ヒドルストンは、チェックとストライプとドットを一度に全部コーディネート。写真の巨匠、ウィリアム・エグルストン先生はだいたいボウタイを結ばないし、映画監督のスパイク・リーは、いつもどおりのブラックカルチャースタイル。
どれもスーツのお作法からは外れている。だけど『ハムレット』にこんな言葉もある。「ここの流儀も知っているが、それは守るより破ったほうが名誉になる慣習だ」。ルールを破ることにもやっぱり価値はある。だからまずはスーツのルールを覚えよう。そして堂々と破ろう。 photo: Hirokazu Kobayashi, Kazuharu Igarashi, Aflo, Getty Images, illustration: Yoshifumi Takeda, text: Koji Toyoda, Satoshi Taguchi, Ryota Mukai, edit: Tamio Ogasawara(2019年12月 872号初出)
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