カネ儲けはダメ?広がる“祭りの有料席”に賛否...伝統はアップデートすべき?祭り文化を守るには?
■阿波おどりのプレミアム席が物議「(黒字分は)維持補修や設備更新など、再投資に回していく」
徳島市の阿波おどりは、2018年に約2900万円の赤字、2019年に約1億9000万円の赤字(台風で2日間中止)を出していたが、2023年には約1600万円の黒字へ転じていた。その背景には、特別観覧席(1.5万円)・ネーミングライツの導入や、補助金獲得に向けての努力、そしてチケット販売の適正化などがあったと推測される(いずれの金額も「阿波おどり事業決算見込み」より)。
今年4月まで徳島市長を1期4年務めた内藤佐和子氏は、「阿波おどりには、もともと『桟敷席』があり、無料から1000円、3000円などの値段設定があった」といい、「(市長在任中の)去年は特別観覧席とプレミアム桟敷席を設けた。最終的にプレミアム桟敷席は返金され、黒字化の要因になったかは不明だが、選択肢を増やすことによる集客は重要だ。もちろん収益も必要だと感じる」との見方を示す。
2023年の阿波おどりでは、1席20万円の「プレミアム桟敷席」を販売したが、建築基準法違反が判明。安全基準を示す検査済証の交付なしに運営されたが、実行委員会は「交付なしの運営が違法との認識がなかった」としつつ、利用者に全額を返金した。なお今年は20万円のプレミアム席は設置されていない。
2024年の阿波おどり有料席は、進行方向手前からC席(1000円)、B席(2000円)、S席(3000円)、SS席(6000円)、S席(3000円)、A席(2500円)、そして特別観覧席(1万5000円)が用意された。 黒字分について、内藤氏は「桟敷・ちょうちんの維持補修や設備更新など、きちんと再投資に回していく。お金がないと運営が続けられないため、実行委員会は使途を明確に出している」と話す。 プレミアム桟敷席の導入に際して、地元の理解は得られたのか。「インバウンド需要に向けて発信することや、国も推進しているプレミアム・ラグジュアリー施策では観光庁からの補助金を受けることなど、実行委員会などが説明した」と答えた。