米国で愛された名物母グマが車にはねられ死亡、1歳の子は行方不明に 「悲しすぎる最終章」
四つ子と一緒にいたことも、少なくとも18匹の子を産んだ「グリズリー399」 米ワイオミング州
おそらく米国で最も有名なクマである「グリズリー399」という名のハイイログマ(Ursus arctos horribilis)が、米ワイオミング州ジャクソンホールの南で車にはねられて亡くなった。これは、本当に素晴らしいある野生動物の悲しすぎる最終章だと専門家は言う。 ギャラリー:四つ子を連れた姿ほか、米国で愛された名物母グマが車にはねられ死亡 写真6点 28歳だった「399」は周辺に生息する最高齢のハイイログマの母親で、少なくとも18匹の子グマを出産した。米国立公園局によると、「399」が亡くなったとき、1歳の子グマ「スピリット」が一緒にいたが、その行方や生存の可能性は不明だ。 「399」は多産であっただけでなく、米グランドティトン国立公園内周辺では有名な存在で、「399」が公園を子グマとともにのんびり歩く姿を写真家が見にくるなど根強い人気を集めていた。2023年には、四つ子と一緒にいたこともあった。 「『399』のような動物に出会ったことはなく、これからもないでしょう。『399』は特別な存在でした」と自然写真家のトーマス・D・マンゲルセン氏は、米ワイオミング州ムース近くの丸太小屋のデッキから語った。氏が住んでいるのは約20年前に初めて「399」を一瞬目にした場所からわずか数キロメートルのところだ。 科学者たちは、「399」が交通量の多い公園の道路や高速道路の近くで子育てすることを選んだのは、攻撃的なオスのクマから子どもを守るためだと推測している。だが、家族が車にはねられる危険も伴った。米国立公園局によれば、この地域では野生動物との交通事故は一般的であり、「399」の子グマの一匹も以前車にはねられて亡くなっている。 しかし、一般人も「399」を見られるようになったおかげで、数え切れないほどの訪問者がハイイログマについて学び、その保護を受け入れるきっかけにもなったと、グランドティトン国立公園の管理者であるチップ・ジェンキンズ氏は声明の中で述べている。 「『399』は連邦政府と州の機関のクマへの対処法を変えました。また、『399』への世間の注目は、多くの人々がクマを気にかけていることを当局に知らしめました。そのような圧倒的な心情は、以前は存在しませんでした」と、ジャクソンホールの野生動物写真家スー・シダーホルム氏は言う。