意外と知らない恐怖…大地震で「エレベーターに閉じ込められる人」が多いという現実
2024年1月1日、能登半島地震が発生した。大地震はいつ襲ってくるかわからないから恐ろしいということを多くの人が実感した出来事だった。昨年には南海トラフ「巨大地震注意」が発表され、大災害への危機感が増している。 【写真】日本人が青ざめる…突然命を奪う大災害「最悪すぎるシミュレーション」 もはや誰もが大地震から逃れられない時代、ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。 (※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
エレベーターに閉じ込められる
巨大地震が発生したとき、恐怖のひとつに「閉じ込め」がある。 たとえば、エレベーターで閉じ込められたとしたら……。 〈震源に近い地域ではP波のあとにS波が伝わる間の時間が非常に短くなるので、速報が強い揺れ(S波)の到達に間に合わない場合がある。 高確率での発生が予想される首都直下地震でも、避難はおろかP波に対応して最寄り階に自動停止する「地震時管制運転装置」が付いている最新のエレベーターでもエレベーター内に閉じ込められる事態が発生する可能性がある。〉(『首都防衛』より) 最新のエレベーターだったとしても閉じ込められる可能性があるというのは恐怖かもしれない。
346台で人が閉じ込められた
実際に、いくつも実例がある。 かなり多くのエレベーターが緊急停止し、人が閉じ込められている。 〈2018年6月の大阪府北部地震(M6.1)の震源は、地下13キロ程度と浅かった。 気象庁はP波を検知してから3.2秒後に緊急地震速報を出したが、大阪府北部や京都府南部など震源に近い地域では大きな揺れが速報よりも先に到来した。 2府3県のエレベーター約12万2000台の半数ほどは震度5弱以上の地域で緊急停止し、346台で人がエレベーター内に閉じ込められた。 そのうち139台には地震時管制運転装置が搭載されていた。だが、最寄り階に着く前に強い揺れが生じたため急停止していたのだ。〉(『首都防衛』より) エレベーターに乗っているとき、寝ているとき、仕事中……いつ巨大地震が襲ってくるかわからないのだから、常に最悪の「そのとき」を頭に入れて日々生活したい。 つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。
現代新書編集部