他球団は「東海大を敵に回せない」“巨人縛り”の菅野智之を日ハム「強行指名」のウラ話…オリオールズ移籍で思い出す“2011ドラフト狂騒曲”
35歳にして巨人からMLBボルチモア・オリオールズへの移籍が決まった菅野智之。東海大時代はアマチュアトップクラスの評価を受けながら「巨人一筋」を貫いて日ハムの1位指名を拒否し、“浪人”を選んだ。そんな男を巡るドラフトでの喧騒を、ベテランスカウトの言葉で振り返る。《全2回の2回目/「大学時代編」を読む》 【写真で比較】「細すぎ…ほんとに同一人物?」東海大相模高時代のガリガリの菅野と「体重20kg増」35歳になった現在のバルクアップした姿…無邪気すぎる21歳の坂本勇人など巨人歴代選手の懐かし秘蔵写真も見る(30枚) 高校時代から熱望していた読売ジャイアンツ入団を主張して、他球団の指名は拒否することを表明していた東海大・菅野智之投手。 本人の堅固な意向と、お母さんのお兄さんが原辰徳・巨人監督という環境から、ほとんどの球団が「とても無理」と撤退する中、その巨人と日本ハムだけが菅野投手を1位指名。抽選の結果、日本ハムが「選択確定」の札を挙げた。 「あの年は、ピッチャーが東洋大・藤岡(基裕、元ロッテ他)、明治大・野村(祐輔、元広島)に菅野が三羽ガラスでしょ。で、野手なら高橋周平(東海大甲府、現中日)。そのへんが目玉といわれていたけど、日本ハムだけが読めなかったんだ」
スカウトが振り返る「2011ドラフト狂騒曲」
当時、現職スカウトだった方に話を聞いてみた。 「会場に向かうエレベーターの中で、(1位は)誰ですかって山田(正雄、当時日ハムスカウト部長)さんに訊いたら、『楽しみにしていてよ……』ってニコッと笑ってね、いつものように」 日本ハム1位・菅野智之。 元スカウトは、その瞬間に確信したという。 「東海大の時の菅野っていったら、あの年は総合力でやっぱり抜けたNo.1でしたよ。(東海大)相模の頃は、空振り三振取れるようなまっすぐじゃなかったけど、大学ではまっすぐも10キロ近く速くなっていたし、変化球もスライダーにフォークに、やっぱりシュートを持っていたのが大きかった。もともとコントロールは一級品でしたからね」 そこまでの逸材を、ならば他の10球団はどうして見送ったのか。 「本人がかたくななほど巨人一辺倒でしたからね。誰かに言わされているとか、状況としてしょうがないじゃない。とにかく、本人がジャイアンツに惚れ込んでいるという印象だった。あそこまで傾倒されちゃったら、仮に無理やり自分とこに持ってきたとしても、健全な精神状態で野球やってくれるのかなという心配すらありましたよ」 さらには、こんな懸念もあったという。 「東海大グループを敵に回してもいいのかという心配ね。特にウチなんて、上がすごくそこを気にしていましたよ。あの頃すでに、巨大企業グループになっていましたからね、東海大学は。親会社的に考えると大事にしたい相手ですよ。 野球だけで考えても、もし強硬指名して彼の行く手を阻むようなことをしたら、東海大だけじゃない、相模や他の付属高校に国際武道大まで出入り禁止なんてことにもなりかねない。社会人だって、東海大系のチームもあったし。実際ちょっと前に、そんな話ありましたからね。だったらやめとこうや。藤岡も野村もいるんだし。そういうムードでしたね」 そんな中でなぜ日本ハムだけが決然と「菅野1位」の反旗をひるがえしたのか?
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