【慶應義塾幼稚舎】あらためてひもとく、その歴史と校風、他の学校にはない教育方針とは?
【慶應義塾幼稚舎】ペーパーテストと保護者面接のない入試
幼稚舎の志願倍率は都内の私立中学でもトップクラスの高倍率で推移しています。 昨年11月に行われた入試では男子定員96人に対し志願者数は934人、一方女子は定員48人に対し志願者は598人でした。合計1532名が受験しています。 このように男女ともに例年倍率が10倍前後を推移するといわれる、極めて熾烈な争いになっています。 高倍率を勝ち抜くには入学試験をパスする必要があります。幼稚舎ではいわゆる子どもの学力を見るペーパーテストや保護者の面接が行われていません。提出書類、願書から保護者の経歴や人となりを把握することもできますが、基本的に「どのような子か」「校風とマッチしているか」を見極める入試を行っています。 ・運動テスト ・行動観察テスト ・絵画制作テスト この3つのテストを通じて受験生である子ども達の「先生の説明を理解した上で運動ができるか」「グループの仲間と協力し目標を達成できるか」「絵を介して自分らしく創造する力、表現力そして説明能力があるか」が見られます。 慶應義塾の基本理念である「独立自尊」を実践できる人材育成に適した子どもを学校側が発見する場です。
【慶應義塾幼稚舎】伝統校ゆえの揺るぎない教育方針
お受験の世界では別格扱いの幼稚舎で行われる教育も長い歴史から培われた独自性のある個性豊かなカリキュラムが実施されています。 一般的な小学校では担任の先生が国語、算数など全ての教科を一人で教えますが、幼稚舎では教科ごとに専任の先生が教える教科別専科制をとっています。また、クラス単位からさらに児童を2~3分割した少人数指導に変えて児童にとってプラスとなる教育が施せるよう学びの形式をフレキシブルに対応しています。 小学校1年生から専門の知識を持つ先生の授業を受けられるというきめ細やかな指導が行われています。また、幼稚舎の最大の特徴の一つである「6年間担任とクラスが持ち上がり」により、クラスメイト同士の一体感や担任の先生が6年間の児童の成長を見守るという信頼関係を築くことができます。 こうした教育を実行したくても現実的に実現することはかなり難しいです。幼稚舎では揺るぎない教育方針のもと、児童たちがそれぞれの個性を伸ばせる教育環境が整っています。 そして、福沢諭吉の「先ず獣身を成して後に人心を養え」の言葉通り体を鍛える体育教育が盛んなことも有名で、とくに水泳に力を入れており、6年生の希望者が参加する千葉館山で遠泳合宿が行われます。 伝統校であり、エリート教育というイメージが強いですが「強靭な身体を作ること」も幼稚舎の大切な教育理念です。