4番の仕事とは? 巨人・岡本和真の打席を見て思い出す「伝説の10.8決戦」の4番・落合博満…エース今中に呟いた「オレはアイツの真っ直ぐは打てん!」
今季の岡本に対する阿部監督の我慢
そこで岡本だ。 6月15日の日本ハム戦。両軍無得点の9回に放った決勝2ランは、まさに「4番の仕事」と言えるものだった。好投してきた日本ハムの金村尚真投手の初球、148kmの真っ直ぐを1球で仕留めた。 「すごくチームにとっても大きいし、非常にナイスバッティングだったと思います」 試合後にはこう岡本の一撃を褒めた巨人・阿部慎之助監督だったが、今季の岡本には、我慢につぐ我慢の連続だったはずである。 順調なスタートを切った交流戦。開幕からソフトバンク、西武、ロッテと3カード連続で勝ち越し、迎えた4カード目が東京ドームでのオリックス戦だった。 ここでオリックスの繰り出す投手陣に打線が沈黙して、まさかの3連敗を喫した。今季、リーグ5位という得点力の低さがモロに出て、2試合連続完封負けとスイープされた3試合目もわずか1得点という内容だった。 そこで問われたのが岡本のバッティングだったのである。3試合で10打数無安打(2四死球)。第3戦では初回2死三塁、8回2死一塁と2度の走者を置いた場面でいずれも中飛に倒れた。一方のオリックスは4番・西川龍馬外野手が3戦連続で先制タイムリーを放つなど12打数5安打4打点と「4番の仕事」を見事に果たしている。 3連戦の最終戦を終えた阿部監督の「4番が打てば勝つ。これが野球というもの」という敗戦の弁がすべてを物語っていた。 そして続く楽天3連戦も、岡本は10打数1安打1打点に沈んだ。第2戦の4回には適時二塁打で1打点を記録したが、3点を追う8回2死一、三塁の場面では遊ゴロに倒れ、結局9回の追い上げもむなしく試合を落とし、翌日も敗れて2カード連続の3連敗。オリックス戦から合わせて6連敗で、借金生活へと突入するピンチに立たされた。 もちろん岡本だけの責任ではない。 ただこうした局面でチームの負の連鎖の責任を負うのも、また「4番の仕事」なのである。 野球とはそういうものだ。 そしてそのことを一番、自覚し、責任を感じているのも、おそらく岡本自身なのである。 以前に「4番の仕事」とはという問いに「全ての勝敗の責任を背負うもの。負け試合は全て僕の責任だと言ってもらっても構わない」と語っていたのを覚えている。 もちろん今季も4番のバットで勝利を手繰り寄せた試合はある。直近でいえば日本ハム戦の決勝2ランや5点差をひっくり返した5月30日のソフトバンク戦での逆転2ランもそうだ。さらに遡れば9回、起死回生の同点本塁打(この試合は延長10回に丸佳浩外野手の犠牲フライで白星を挙げた)を放った交流戦突入直前の5月26日の阪神戦も、岡本のバットで勝った試合だった。
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