「うちにサンタは来ない」と諦めてしまう子どもも 手軽に寄付ができる「ブックサンタ」とは
サンタクロースからのプレゼントなど、子ども時代にクリスマスの楽しい思い出を持つ人は多いでしょう。そして大人になってからは、自分自身が見知らぬ誰かのサンタクロースになることを楽しんでいる人たちがいます。2017年の開始から参加者が拡大している「ブックサンタ」活動を行うNPO団体、チャリティーサンタの勝野多喜さんに話をお聞きしました。 【画像】誰でもサンタになれる 「1からわかるブックサンタ」 実際の投稿 ◇ ◇ ◇
経済事情だけではない 「本を贈られるのは、大変な境遇にいる子どもたち」
同団体は「あなたも誰かのサンタクロース」を合言葉に、さまざまな活動を行っています。そのうちのひとつであるブックサンタは、2017年の開始当初58の書店、848冊の寄付でスタートし、参加書店や寄付される本の数が年々増加。2024年9月時点で参加書店は1868店舗となり、これまで26万9333冊の本が寄付されました。 寄付により集まった本は、クリスマスプレゼントのほか、誕生日プレゼントとしても届けられています。 勝野さんは、「本を贈られるのは、大変な境遇にいる子どもたちです。経済的なことだけでなく、被災した地域など厳しい環境にいる子どもたちにも届けられます」と説明。対象となる家庭は、生活保護や非課税世帯といった証明書ベースではなく、ヒアリングやアンケートを基に、幅広く対応しているといいます。 「ひとり親世帯といった生活困窮家庭に限りません。両親がそろっていても子どもの多い多子世帯であるとか、病気や多忙などで、子どもに十分なケアをしてあげられないと感じているご家庭があります。『うちにサンタクロースは来ない』と諦めていた子どもたちに、これまでも本を届けてきました」 ブックサンタのウェブサイトには、さまざまな事情から申し込む、保護者からの声も掲載。過去にブックサンタで本を受け取り、我が子が喜ぶ様子を報告するメッセージも数多く紹介されています。
「私が読んできた本が、『今度は誰かの支えになれば』」
サイトには、本を贈られた家庭だけでなく、寄付をした人からの「成人したので、『大人』として『子ども』を助けられるようなことをしたかった」「私が読んできた本が、『今度は誰かの支えになればいいな』と思い、参加しました」といった声も紹介。SNSでもブックサンタをたくさんの人に知ってもらいたいと考え、寄付の報告を投稿する人が少なくありません。 ブックサンタへ本を寄付する方法は2つあります。ひとつはブックサンタに参加している書店で本を選び、レジで「ブックサンタに参加したい」と伝えて会計。本は書店を通じて事務局へ発送され、支払い時に受け取るサンクスレターから「受け取った子どもたちの感想」を閲覧できます。もうひとつはブックサンタのサイト内にある、オンライン書店を経由しての寄付です。 「オンライン書店には『どんな本を選べばいいのか悩む』といった声に応え、『おすすめ』の本や『サンタにおまかせ』を選べるようにしています」