袴田巌さん再審長期化で最高検「裁判所の方策が不十分」と指摘…証拠の管理不適切で開示遅れとも
最高検は検証報告書で、再審手続きが長期化した要因も分析した。袴田さんは逮捕から再審無罪まで58年を要したが、このうち第1次再審請求審に約27年、第2次再審請求審に約15年かかっていた。
報告書は、再審請求審が長期化した要因として、裁判所、検察官、弁護人の三者による打ち合わせの頻度が低く、審理を主導する裁判所が、積極的に審理を促進する方策が十分でなかったと言及。検察も裁判所に審理促進を促すなどの努力が必要だったとした。
一方、証拠開示のあり方を巡っては、第1次請求、第2次請求ともに「問題ない」と結論付けた。ただ、犯行着衣とされた衣類のカラー写真のネガフィルムや取り調べを録音したテープの保管・把握が不十分だったことから、開示まで期間を要したとも言及。適切に保管していれば審理が促進された可能性があったとし、証拠を適正に管理して開示に遅れが生じないよう努める必要があるとも記した。
また、2014年に出た最初の再審開始決定に対して不服を申し立てた対応についても検討。同決定は科学的に誤った判断をしており、「是正する必要があった」として問題なかったとの認識を示した。