【2歳馬ジャッジ】ヒシアマンが6馬身の圧勝で高指数を記録 今後の重賞戦線での活躍に期待
札幌競馬場
8月31日(土) 札幌5R 優勝馬 ダイシンラー 指数-2 評価A 7番枠からはっきり出遅れ、後方2列目付近からの追走。ペースは3F通過38秒6とかなりのスローペースだった。後方2列目の外キングピラートは道中で先頭列まで進出したが、ダイシンラーはそこで外に進路を取りじっくりと構えた。3~4角ではかなり外を回りながら進出して、好位の直後まで上がって直線へ。最後までしぶとく伸びてアタマ差で勝利した。 レースの流れを考えれば好位の最内を立ち回った1番人気ダノンミッションが明らかに有利な展開だったが、ダイシンラーは馬場の良い外を走りしっかり構えたのが勝因か。 芝1500mの走破タイム1分34秒0は超平凡。上がり3Fタイム36秒2、ラスト2F12秒2-12秒1もそこまで高く評価できない。ただ出遅れ、ペース、コース取りの不利がありながら勝利した内容は数字以上の価値がある。長く良い脚を使えることから、距離が延びて良さそうなタイプ。なかなか面白い存在に成長してくれそうだ。 8月31日(土) 札幌11R 優勝馬 マジックサンズ 指数-12 評価AA 2番枠からやや出遅れ、そこから促されてもあまり進まなかったが、中団中目のスペースを拾って挽回した。道中はそこから外に出してうまくモンドデラモーレの後ろから3角へ。3~4角で中団外から早めに仕掛け、4角では馬場の良い外を通って先頭列に並びかけて直線へ向いた。そのまましぶとく伸び、最内から抜け出したアルマヴェローチェとの叩き合い。ラスト1Fで内からステッキを入れると外に張っていたがハナ差で勝利した。 出走馬のなかで新馬戦時の評価AAはマジックサンズ、ファイアンクランツの2頭。どちらを本命にするかで悩んだ。マジックサンズは新馬戦で出遅れながら好指数で勝利した馬。順当に上積みが計算でき、次走重賞でも期待できると評した。 ファイアンクランツは新馬戦で好位から抜け出し、ラスト2F11秒8-11秒1とかなり優秀な瞬発力を見せ勝利。GⅠ級の潜在能力を持つ可能性を感じさせる内容だった。ただ同馬のようなタイプは意外と次戦で順当に伸びない可能性も理解していた。今回のレースでもファイアンクランツは中団の外から伸びたが3着止まり。スケールの大きさよりも、今回に向けての隙のなさが勝敗を分けた。 今回驚いたのは2着に入った牝馬アルマヴェローチェだ。中団の内から3~4角で最内を選択した鞍上の判断が光ったが、新馬戦は特筆すべき内容ではなかった。ただ同馬のように、逃げて新馬戦を勝利した馬は内容平凡でも次走で大きな上積みを見せることがあり、まさしくそのパターンだったようだ。 今年の札幌2歳Sは指数が世代トップにはならなかった。しかし上位入線馬は当然、今後も重賞級の活躍が期待できるだろう。 9月1日(日) 札幌1R 優勝馬 ヒシアマン 指数-9 評価AA 8番枠から好スタートを決め、絶好の手応えで先行するも中団中目に控えて折り合った。3~4角で後続各馬が動き、4角では先頭7~8頭の横並びとなったが、本馬は内から4~5頭のところを抜け出し、軽く仕掛けた程度で先頭。そこから突き抜けて6馬身差で圧勝した。 本馬の前走7月札幌の新馬戦は、セレクトセールである程度高額取り引きされた馬が集結した一戦だった。勝利したアルテヴェローチェとヒシアマンが3着以下を5馬身以上引き離しての追い比べとなり、なかなかの好指数を記録した一戦だった。 今回の出走馬のなかでは断然の指数1位だったが、デビュー2戦目は順当に上昇する馬ばかりではない。単勝オッズ1.4倍ほどの信頼度があるとは見ていなかった。しかし、終わってみれば明らかに力が違った勝利だった。 ラスト2F12秒0-11秒5の数字はまだ余裕を感じさせた。今回で記録した指数は1勝クラス勝ちが期待できるもの。また、これでデビューから2戦続けて上がり最速をマークした。数字はプラス要素を示すものだらけ。今後は重賞での大活躍が期待できるだろう。 9月1日(日) 札幌9R 優勝馬 カワキタマナレア 指数-11 評価AA 4番枠から出遅れて後方からの競馬。しかし、鞍上は前走時のように慌てた様子はなく、中団馬群の後方中目でジックリ脚を溜めさせた。3~4角では馬群の一番外から進出、4角では大外。随分と距離ロスが大きく、直線序盤でもまだ中団だったが、ラスト1Fでしっかり脚を伸ばして1馬身3/4差で完勝した。 本馬は新馬戦で上がり3Fタイム33秒8と素晴らしい瞬発力を披露。2着馬に3馬身半差、3着馬に7馬身半差をつけて好指数で圧勝した。重賞でもチャンス十分と評価AAにした馬だ。次は重賞に出てくると思っていたが、OPのシンガポールTC賞(昨年までのすずらん賞)に出走してきた。ここなら明らかに能力上位。勝つのは当然として、どのように勝つか注目していたが、力の違いを見せる完勝だった。 これで2戦2勝。2戦連続の上がり最速。荒っぽいレースぶりから今後は結果にムラが出そうだが、瞬発力は間違いなく重賞級だ。血統面から一度負ければすぐに距離不安説が出て、マイル以上の距離では人気薄となりそうだが、どこかの重賞で激走を期待したくなる馬だ。 ※パワーポイント指数(PP指数)とは? ●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示 例)ヒシアマンの指数「-9」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.9秒速い ライタープロフィール 山崎エリカ 類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
山崎エリカ