「トイレ風呂無し5平米」ホテルが1泊1万円の衝撃 大阪・あいりん地区を仰天させる“インバウンド異変”
大手も週末は2万円超
週末の部屋不足は深刻だ。室内にトイレと浴室がある大手ビジネスホテルチェーンの部屋も、平日1泊9000円前後が週末は2万3000円前後に値上がりするという。 「フロントのスタッフに聞くと、夏頃からこういう状態とか。1ドル140円から160円に向かう円安が再開した時期と重なります。新今宮から3駅目の大正駅に近い京セラドームでコンサートが開催されると、サラリーマン御用達のビジネスホテルはさらに値上がりして4万円にもなるのでもう絶望的。バックパッカーとして長らく国内や海外を旅行してきましたが、こんな異常な事態は初めてですね」(前出のトラベルライター) 関西国際空港の国際線運航状況を見ると、近距離アジアからのフライトは天津航空、中国東方航空、春秋航空、中国国際航空などの中華系24社が乗り入れており、路線は北京、天津、青島、上海、南京、香港、台北など60以上に及ぶ。 「上海から大阪までの直行便は2時間20分ほど。チケット代は旅行サイトで安いものを探すと1万2000円代から買えるので若い中国人も気楽に来られます。新今宮駅周辺は通天閣がそびえ、多くの串カツ店や安価な寿司屋、射的場などが軒を並べており、さながら昭和の時代にタイムスリップしたかのような感覚に襲われます。また、新今宮から南へ15分ほど歩くと、飛田新地の赤い照明と提灯の明かりがディープな雰囲気を醸し出しており、外国人観光客の興味をそそるようですね。難波まで歩いても30分。戎橋のグリコの広告をバックに記念写真の撮影に余念がありません」(同) 興味深いのは、星野リゾートが新今宮駅北側に最強スペックを誇る「OMO7(おもせぶん)大阪 by 星野リゾート」を2022年4月に開業したことで、地域イメージに変化が現れていること。実際、「OMO7」が宿泊客に提供している街歩き&飲食店案内プランにも、あいりん地区内のコースが存在しており観光資源として活用されているのだ。 「大阪市は西成特区構想のもと、新今宮エリアを中心とする街の活性化・イメージアップ政策を進めています。アフターコロナにおける観光客の呼び込みもその大きな柱。ただ、そのあおりで外国人観光客が増えすぎて、オーバーツーリズム状態になっています。安宿が集中する新今宮エリアも、週末になると高級ホテル並みの価格に跳ね上がり、金銭に余裕のない日本の若い旅行者を苦しめています。海外旅行客を呼び寄せる極端な円安が劇的に反転しない限り、日本人にとって“観光地獄”が続きそうです」(旅行代理店関係者) 泊まれる部屋がない――。そんな状況はいつ解消されるのか。
デイリー新潮編集部
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