「飛行機に乗ってきても元が取れる」外国人もリピートする、銀座のカニ山盛り「1万2000円ブッフェ」の破壊力
「いつも日常生活や旅先で新しいメニューを見ると『これを採り入れられないかな』『あの場所でオープンしたらはやるかな』とつねにアイデアを考えています。そういうのが好きなんですよね」と語る孫社長の頭の中にはいくつものアイデアがあるのだろう。 2つ目は「日本人の味覚や嗜好に合わせてメニューを提供する」こと。孫社長が経営する店舗は本格的な「ガチ中華」が中心だが、本場のメニューをそのまま日本に持ち込むわけではない。例えば火鍋専門店「孫二娘潮汕牛肉火鍋」は、牛骨で煮込んだスープを使用。日本人の嗜好に合わせて辛さを抑え、素材の味をそのまま楽しめるようアレンジしている。
メニューは全店舗を統括する総料理長に一任しているが、新しいメニューを開発する際は必ず孫社長も立ち会い、自らの舌で確かめる。「日本人の口に合わない、と判断したら却下しています」。 3つ目は、原価を抑えて良質な食材を仕入れる「仕入れ力」だ。16ある店舗で共通する食材はできるだけまとめて大量発注。そのことで、取引業者に対する交渉力も持つことができる。冒頭の「銀座八芳」で、スーパーで買えば6000円はくだらないタラバガニを食べ放題で楽しめるのは、この「仕入れ力」あればこそだ。
もっとも足元では、外食産業は原材料や人件費の高騰、そして人手不足に襲われており、FANG DREAM COMPANYも例外ではない。 孫社長は「あまり値上げすると創業時から大切にしている『本格料理をリーズナブルな価格で』のコンセプトが崩れてしまう」と、価格転嫁には慎重な姿勢。総売り上げを伸ばす努力をしつつ、つねにバランスシートを見ながら人件費、賃料、仕入れ原価のバランスを調整しているという。 ■日本人の採用が難しい中での「施策」
人手不足で日本人をなかなか採用できない中、外国人を中心とするスタッフの戦力化も大きな課題だ。 「正直、人手不足で大変です。ただ、実はある社長さんに相談をしたら、『外国人を雇ってその人たちに徹底的にサービスを教え込んだらどうですか』と言われたんです。うちには日本人や中国人はもちろん、インドやミャンマーの方もいます。そうすると正直、サービスの質に不安がある。今の課題はどうしたら徹底したおもてなしができるかどうか。これについてはスタッフで毎日反省会をしています」