内閣不信任案賛成、今もオプション 国民・玉木氏が自民けん制【解説委員室から】
不倫問題で3カ月の党の役職停止処分を受けた国民民主党の玉木雄一郎代表はこのほど時事通信のインタビューに応じた。「政策の実現には協力するが、石破政権の延命に協力する気は全くない」「政策が実現しない場合はいつでも反対する。内閣不信任案のオプション(選択肢)は常にある」などと述べた。少数与党の石破政権は来年度予算成立に向け、国民民主党など野党の賛成が不可欠で、玉木氏の発言は今後の政策協議の詰めに当たり、与党側をけん制したものだ。玉木氏の主な発言は次の通り。(時事通信解説委員 村田純一、政治部 木田茜) 【図解】2025年度税制改正の主な内容 ◆役職停止期間中、「一議員」として汗をかく ―3カ月の役職停止処分をどう受け止めているか? ▽多くの皆さんにご心配、ご迷惑をおかけした。大変重い処分で真摯(しんし)に受け止め、従いたい。初心に戻って、この3カ月(※)は一議員として、信頼回復と党勢拡大、約束した政策の実現に向けしっかりと汗をかいていきたい。 役員会には出席せず、週1回の定例会見もしていない。榛葉賀津也幹事長の定例会見に一本化し、代表としての活動は休止している。ネットではずっと発信を続けており、政策決定のプロセスを知りたいというニーズもあり、政策や他党とのやりとりをできるだけオープンに発信したい。 ―議員辞職の選択肢はなかったか? ▽議員辞職のつもりはなかった。基本的にはプライベートな問題なので、夫婦間でどう乗り越えていくのかという問題だと思う。党倫理委員会でも、不倫そのものを組織として判断したものではない。ただ党の役職にある者が誤解を生むような行為をした、という注意義務違反で厳しく処断されたと思っている。 (※玉木氏の役職停止期間は3月3日まで。その後は党代表に復帰する予定) ◆「年収103万円の壁」、25年の178万円引き上げ目指す ―所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」について、自公国3党幹事長協議で、「178万円を目指して来年から引き上げる」ことで合意したが、評価は? ▽相当踏み込んで、自民党も公明党も決断してくれたというのが正直な印象。3党協議中、私も国民民主党幹部と連絡を取り、2回ぐらい「もう(協議を)蹴飛ばしてやめたらいいんじゃないの」と言ったこともある。うちは政策本位だから、「政策が実現するなら補正予算案に賛成するけど、実現しないなら反対」という方針が明確にあった。 自公国の協議では、三つの画期的な合意点があった。一つは、まず基礎控除の引き上げ等について「来年から」と明記したこと。 引き上げ幅も、国民民主党が主張する「178万円を目指して」と書き、「178」という数字が入ったことだ。 さらに、50年続いてきたガソリン税の暫定税率を「廃止する」と明記したことだ。期限は書いてないが、暫定税率の廃止明記はかつてなかった。これは非常に大きなメッセージだ。私たちが有権者に説明できる内容になっている。 ―「来年から178万円を目指す」とあるのは、25年中に178万円まで引き上げるのではなく、年々、段階的に引き上げていくという考えが自民にある。 ▽交渉の経緯を言うと、最初の自民案は「来年から大幅に引き上げる」と書き、その上で、「178万円を目指す」という表現だった。 「大幅」というのは人によって見方が違う。「178」というのは、場合によっては10年後や20年後の目標になるというのが自民党の原案だった。それは絶対駄目。来年は「大幅」に上げ、「178」が将来的な目標なら、来年の「178」という選択肢は消えることになる。来年の目標として178万円を目指すと押し返し、今に至っているから、この表現は重い。 (※その後、12月13日の自公国3党税制調査会長の協議で、自公は「25年分から123万円への引き上げ」を提案。国民民主は「自分たちの考えとかなり相違がある」と反発した。17日に再協議したが、自公から新たな提案がなく、国民民主はいったん協議を打ち切った) ―「年収103万円の壁」見直しの次は何が最優先の目標か? ▽3カ月の役職停止期間中に考えたい。参院選に何を訴えるかだ。「103万円」はまだ終わっていない。やっとスタート地点に立ったぐらいで、協議はそう甘くはない。クリスマスぐらいに終わると思っている人もいるが、それは自公過半数の時の話。年末年始返上でやったらいい。