姥捨てと呼ばれてもイイ!認知症母(80歳)の老人ホーム入所を「秒で決断」娘の脳裏に焼き付く衝撃の光景
「老人ホーム入所を秒速で決めた!」娘が見た衝撃の光景とは
母の家は、認知症の兆候が出始める前から、「まさかのとき」に備えガスコンロをやめ、IHコンロを使っていました。 認知症が進んだ今では料理もできなくなったことから、「我が家が火元にはなり得ない」とタカをくくっていたのがとんでもない大誤算、というより不勉強でした。 とある日、電子レンジから発火し、家中に煙が充満。たまたま気づいた隣家のご主人が初期消火してくださり、ボヤで済んだのですが……。
姥捨てと言われても構わない!「老人ホーム入所を秒速で決めた」
ボヤの知らせを受け駆け付けた筆者を迎えたのは、煙が充満したリビングで平然と椅子に座る母の姿。娘(筆者)の顔を見るやいなや、「朝から何も食べていない」「お隣さんが急に家に入ってきた……」と訴えてきたのでした。 ●これが「在宅介護の限界点」だった そして、隣家の奥様が困惑した顔で発した「火事にならなくて良かったです……」という一言。くすぶった電子レンジの庫内には、真っ黒になったパンと思しき物体が残っていました。 在宅介護の限界点が、ついにやってきた瞬間でした。「あと一歩で火事だった。もう家で見るのは無理だ」 この日から、筆者は血眼になり老人ホームの情報を集め、週末はあちこちの施設を見学したのでした。
在宅介護の限界点が来たら、家族だけで抱え込まないこと
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」によると、要介護者の介護が必要になった主な原因として最も多かったのが、「認知症(23.6%)」。 また、LIFULL seniorの調査では、介護施設への入居を考えるきっかけとなった状況は「認知症があった」が第1位です。その具体的な症状として「火の不始末」と挙げた人も一定割合います。 在宅介護の限界点を感じたら、家族だけで抱え込むことはせず、介護のプロの手にゆだねることを考えていきましょう。 認知症の症状からくるトラブルには色々なものがありますが、火の元が絡む問題は、ささいな出来事でも絶対に重大視する必要があるでしょう。一歩間違えば隣近所を巻き込む大惨事になるのですから。 ●介護費用は「親の資産から」が基本 在宅介護から施設介護への切り替えは、気持ちの面でもお金の面でも大きなインパクトがあるできごとです。 ちなみに内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」では65歳以上の実に85.2%が、介護が必要となった場合、介護費用を自分自身の資産から捻出すると回答していますが……。 ・介護費用は投資信託や株式を売却してまかなうつもりだった ・持ち家を処分して老人ホームの入居費用を作る予定だった といったプランを立てている場合は、注意が必要でしょう。特に認知症の場合、症状が進行して判断能力が衰えると銀行などの口座が凍結されて引き出せなくなったり、不動産の売買契約ができなくなったりする可能性も。 親の資産は「本人のために」しっかりと有効活用したいもの。必要に応じて任意後見や家族信託などの制度の活用を検討していくことは、「転ばぬ先の杖」として有効であることは間違いないでしょう。