2024年上半期 介護事業者の倒産が急増、最多の81件
介護事業者の倒産が過去最多
2024年上半期の「老人福祉・介護事業」の倒産は81件(前年同期比50.0%増)だった。上半期では、これまで最多だった2020年同期の58件を大幅に上回った。 介護事業者の倒産は、介護報酬がマイナス改定だった2015年同期に急増した。人手不足が深刻化した2019年同期も55件に増え、コロナ禍で利用者が減少した2020年同期は58件に達した。 その後、ゼロゼロ融資や雇用調整助成金などコロナ関連支援策の効果から倒産は減少に転じたが、支援縮小とともに人手不足、物価高が進行し2024年は過去最多を大幅に更新した。
業種別、「訪問介護」「通所・短期入所」「有料老人ホーム」がそれぞれ過去最多に
業種別では、最多が「訪問介護事業」の40件(前年同期比42.8%増、前年同期28件)。次いで、デイサービスやショートステイなどの「通所・短期入所介護事業」が25件(同38.8%増、同18件)、「有料老人ホーム」が9件(同125.0%増、同4件)、特別養護老人ホームなどを含む「その他」が7件(同75.0%増、同4件)だった。 ◇業種別(1)「訪問介護」 「訪問介護」の上半期の最多件数は、2019年の32件だった。2024年は40件で、2019年を8件上回った。「訪問介護」の倒産40件のうち、原因別では販売不振(売上不振)が34件(構成比85.0%)、従業員数別では10人未満が36件(同90.0%)、負債額別では1億円未満が37件(同92.5%)と小規模事業者の売上不振が大半を占めた。 ◇業種別(2)「通所・短期入所」 「通所・短期入所」の上半期の最多件数は、2017年と2018年、2020年、2023年の各18件だった。2024年は25件で、これまでの最多を7件上回った。「通所・短期入所」の倒産25件のうち、原因別では販売不振(売上不振)が19件(構成比76.0%)、従業員数別では5人未満が13件(同52.0%)、負債額別では1千万円以上5千万円未満が12件(同48.0%)と各項目で最多だった。 ◇業種別(3)「有料老人ホーム」 「有料老人ホーム」の上半期の最多件数は、2022年の8件で、2024年は9件だった。「有料老人ホーム」の倒産9件のうち、原因別では販売不振(売上不振)が6件(構成比66.6%)、負債額別では1億円以上が5件(同55.5%)と比較的規模の大きな有料老人ホームの倒産が目立った。